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現場のPCを仮想化?管理運用は?高可用性エッジサーバーでお手軽に実現!

ライター:伊藤 千輝
ネットワンシステムズに新卒入社し、IoT/AIの技術の検証/ソリューション開発に従事。また、最新のAI技術をウォッチするために産学連携の取り組みを推進。
現在は製造業をターゲットにスマートファクトリーに向けたデータ収集・集約・加工・保存・活用のためのデータハンドリング基盤の提案導入支援。実際の顧客データを用いた分析支援を行う。
休日は弊社がスポンサーとして支援する大分トリニータをサポーターとして応援。

目次

はじめに

前回のブログで、製造現場のエッジコンピューティングのメリットとデメリット、構成検討する上でのポイントをご紹介しました。今回はEdge Platformの中で、エッジのインフラを提供する高可用性エッジサーバーをご紹介いたします。

製造現場のインフラ課題とあるべき姿

IoTや工場内のDXを進めるにあたり、インフラは非常に重要になります。エッジコンピューティングはお手軽にRaspberry piやエッジのLinux搭載のホワイトボックスなどでもスタートはできますが、本番環境での実装やIT部管理のネットワークとの接続ではエッジにどういったサーバーを置くかという検討が必要となります。具体的には下記に示すような課題をあるべき姿へと近づけなければならなくなります。

図:製造業のエッジインフラ課題とあるべき姿

弊社では現場インフラのあるべき姿を目指して、エッジクラウドといわれる、工場や建屋ごとでサーバーを仮想化統合する基盤を推奨しており、お客様にご提案しています。しかし、製造現場で始まっているIoTや現場DXの取り組みは、スモールスタートで低予算からスタートし、費用対効果が見えてから大型投資に代わるケースが多いため、現場インフラは後回しになることが多くあります。

また、高頻度に発生するトレーサビリティの一次取得を、どうしても現場にサーバーを置いて実装しなければならないこともあるかと思います。昨今現場でもwifi6やローカル5Gなどの無線ネットワーク、通信キャリアのLTEや4G、5G回線を用いた環境下にサーバーを置き、高頻度かつ膨大なデータを一時取得して、エッジにバッファリング機能を持たせ、クラウドや社内基盤にデータを転送する仕組みなどもお客様の中で検討されているかと思われます。

こうした際に、お手軽な高可用性エッジサーバーがEdge Pratformの一つとして検討されます。

お手軽!産業用高可用性エッジサーバー ztC Edge

今回は現在弊社のIoTラボで現場のエッジサーバーとして機能検証を行っている、お手軽にエッジ実装しながらも管理運用の効率化やセキュリティ対策を可能にする高可用性エッジサーバーをご紹介します。

ztC Edgeとは

図:ztC Edgeの機能まとめ

ztC Edgeはストラタステクノロジー社(以下、ストラタス社)が提供する産業用のエッジサーバーです。ストラタス社はフォールトトレラント設計コンピューターを製造・設計する会社で、クリティカルな環境での使用となる銀行やクレジットカード、金融などを中心に高可用性サーバーを提供していました。ztC Edgeは、ストラタス社が産業現場向けに2018年より販売した製品で、ハードウェアは一般的な産業用PCと同程度の耐環境性能を持っているため、制御盤の中などに設置可能な製品です。

ztC Edgeは、フォールトトレラント設計をもとにしたStratus Redundant Linuxをベースに、2台のハードウェアで物理的に冗長化されています。片方をアクティブ、もう片方をスタンバイとしてメモリやハードディスク等のバックアップ(FTモード、HAモードでバックアップの範囲を指定)を自動で常に取りながら稼働し、障害発生時には即座にスタンバイのハードウェアへ自動切り替えを実施して、サーバーを復旧することができます。これは、クリティカルな工場のエッジのトレサビデータ収集、欠損のほぼないデータでのエッジAIの実装などに非常に適しています。

ハードウェアは、出荷時からStratus Redundant Linuxがプレインストールされているため、障害発生後の復旧は壊れたハードウェアを新しいものに交換すると、自動で既存の設定を稼働中のハードウェアから取得し、簡単に復旧作業ができます。HCIのような複雑な設定、クラスター管理など必要なく、IT専門知識がなくともハードを物理的に交換することで簡単に障害復旧が可能になります。

また、エッジを仮想化統合して運用管理の効率化や通信やアクセスの制御など、セキュリティ対策が可能になります。製造現場のIoTやDXで増え続けるアプリケーションを乗せるインフラとしてのエッジのサーバーを仮想化し集約することで、機器の管理や運用が効率化され、セキュリティ対策も取りやすくなります。

さらに、単なるスイッチングハブ(いわゆるバカハブ)ではなく、弊社の取り扱う産業向けのインテリジェントスイッチ(シスコIEシリーズ)と連動することで高度なネットワークの分離やゾーニング、通信制御をすることで、セキュリティ対策をとることができます。

図左:ztC Edge 250iのイメージ

図右:ブラウザからアクセスしたztC Edgeの管理コンソール

ユースケース

高可用性エッジサーバーのユースケースをご紹介します。

データ欠損のないインフラ

各工程の生産状況を統合して可視化してトレーサビリティの紐付けを行い、稼働分析のためのアプリケーションを稼働させたり、より高度な製造ラインのデータを収集し不良発生分析するアプリケーションなど、様々なアプリケーションが現場に適応されていっているかと思います。データ活用の前提として、よい分析をするためには良いデータが必要で、データを欠損なく収集することが必要となってきます。従来のシングルサーバーやホワイトボックスを使っていた場合、耐障害性が低く、データ欠損が発生していたケースもあるかと思います。高可用性エッジサーバーを置くことでデータ欠損のリスクを避けられ、PoC後の本番環境でも耐えうるインフラを構築できます。

現場インフラの管理・運用の効率化

エッジサーバーを仮想化統合することで、増え続ける現場のサーバーリソースを一元管理・運用ができます。

また、カーボンニュートラルの取り組みとして、工場内の電力削減のために不必要なサーバーリソースを限りなく減らしたい、という課題も昨今ご相談を受けるようになりました。これまでシングルサーバーで複数台動かしていたものを1つに仮想化統合することで、リソースの有効活用が可能になり電力削減に貢献するという考え方もお客様の中では検討され始めています。



その他にも、コロナ下で現場のサーバーへリモートアクセスしてデータやアプリを見たいといったケース。老朽化したPCなど繋げたくても繋げられなかったサーバーのリプレースとして、高可用性エッジサーバーの検討。AIモデルデプロイ先としての活用などお手軽な高可用性エッジサーバーのユースケースは多岐にわたります。

まとめ

今回はお手軽高可用性エッジサーバーであるストラタス社のztC Edgeをご紹介しました。現在弊社のIoTラボにて機能検証、ネットワーク機器と組み合わせたセキュリティ対策の検証を行っております。結果がまとまりましたら、またブログで公開したいと思います。

ご興味ございましたらお問い合わせいただければと思います。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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