
- ライター:池田 健敏
- ネットワンシステムズに新卒入社し、データ活用の取り組みとしてAI/IoTの技術の検証/ソリューション開発に従事しております。
データ収集、可視化、データハンドリング基盤の導入支援や顧客データの分析支援を行っております。
目次
■スマートグラスの機能について
スマートグラスというと、眼鏡をかけてARを使ったWeb会議での用途が思い浮かびますが、実はそれ以外にも様々な用途で使うことが可能です。
今回は、スマートグラスの機能やソリューションについてご紹介いたします。
スマートグラス(ハードウェア)
スマートグラスはVR, MR, ARなどの技術と組み合わせて利用され、COVID-19の影響で2020年から急激に市場も動きはじめています。
そのため、各社から様々なスマートグラスがリリースされています。
各スマートグラスの特徴を産業向け、一般向け、両目型、片目型で大まかに分類したものが以下の図になります。
図1.スマートグラス特徴
両目型は、サングラスのようなグラスにARなどの映像が映し出され、同時に現実世界の背景を見ることも可能です。
片目型は、小型の非透過型のディスプレイが片目にだけついています。
両目タイプのメリットは、表示されるマニュアルやドキュメントなどの表示できる範囲が広いことです。但し、手元の細部を確認したい時などはディスプレイ部を上げ下げする必要があります。
片目タイプのメリットは、手元の様子が見やすくなり、スマートグラス自体が軽量でコンパクト化しやすいことです。
また表示される資料自体は小さくなりがちですが、非透過型のため文字をしっかり認識しやすくなります。
使用用途や個人差で片目型・両目型のどちらが良いのかは分かれるかと思います。
遠隔支援ソフトウェア
スマートグラスをより効果的に使用するためには、遠隔支援ソフトウェアを使用します。
遠隔支援ソフトウェアにも様々なものがあり、機能や組み合わせて使用できるスマートグラスの種類などに差があります。
Linker Works、AceReal Assist、Team Viewer Frontline、Reflekt One、Vuforia Engineなど様々な種類があります。
遠隔支援ソフトウェアも通話、画面共有、チャット機能を提供しているものから、業務マニュアルを作成し、作成したマニュアルをスマートグラス側が参照する機能を提供しているものや、コードを書いてプログラミングするものまであります。
製品によってクラウド・オンプレ両方に対応、OCR機能、さらにはAPIで外部システム連携ができるものがあります。
図2.遠隔支援ソフトウェア対応製品
業務支援アプリケーション基本機能
遠隔支援ソリューションの基本的な機能を紹介します。
どのソリューションにもある基本的な機能として、リアルタイムでの画面共有、ドキュメント表示、ビデオ通話があります。
スマートグラス使用者の見ている映像を共有し、遠隔地にいる支援者が指示対象物を丸で囲うことや、矢印で示すことで細かく正確なやり取りが可能になります。
基本的にどのソリューションでも対応している機能ですが、製品によって複数人での通話やスマートグラス間での通話、スマートフォンに対応しているかなどの違いがあります。
図3.業務支援アプリケーション 基本機能
業務支援アプリケーション 応用機能
基本機能から発展し、業務向けに開発された機能についてご紹介します。
機能一例
- 業務手順書(ワークフロー)作成、工程管理
- ワークフローに沿って作業証跡として写真・動画の撮影、自動アップロード、保存
- 音声入力による数値入力、チェックリスト利用によりハンズフリーの実現、作業効率化、作業漏れの防止
- 外部システムとの連携(API連携)
- CADデータ利用
業務手順書(ワークフロー)はブラウザベースのGUIを使用して作成可能です。
あらかじめ用意されているUIテンプレートをドラッグ&ドロップし、各フローを線でつなげることで作成できます。
そのため、プログラミングのような高度な技術を有していなくても、専門知識不要で作成することが可能です。
また、各作業工程でどの程度、作業時間がかかったか記録を取ることも可能なため、時間を要する工程を細分化したり、特定の人の作業が遅い場合はフォローを入れたり、新しく得た情報を可視化し、分析することができます。
ワークフローを事前に作成しておくことで、スマートグラス内でマニュアル、動画を参照することや、各作業工程で作業証跡として写真・動画の撮影が可能になります。
音声入力による在庫入力やチェックリストにも対応しているので、視点を移動させて手元の紙への記載や、別媒体へ手入力の必要もありません。音声入力されたデータをAPI連携して在庫管理システムなどの既存のシステムへ即時反映も可能になります。
それにより、従来の紙と手順を見比べることがなくなるので作業の煩わしさが減り、作業証跡として撮影した写真、チェックリストを作業の流れに沿って自動アップロードができるため、作業効率が上がり、作業漏れを減らすことも可能です。
製品によってはCADデータを使用することもでき、3Dモデルと連携して、指定したパーツの詳細説明の参照やアニメーションにより、正しい製品の稼働範囲や動きを把握することが可能です。
図4.ワークフロー作成画面 イメージ図
アーキテクチャ全体像
スマートグラス単体で考えてしまうと、製品の良さを十分に引き出せないことがあります。
より良いワンランク上の効果を得るためには、スマートグラスが快適に通信できる無線環境や、遠隔支援ソフトウェアを導入するための基盤について考慮をしたり、遠隔支援ソリューションだけで終わらせるだけではなく、外部の分析基盤や外部システムと連携したり、業務分析、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みを推進させることでより大きな効果が期待できます。
弊社は、スマートグラス活用に必要なインフラとユースケースに応じた最適なソリューションをご提案できるよう、アーキテクチャの技術的な検証をしています。
弊社のスマートグラスのソリューションは、デジタルトランスフォーメーション(DX)に必要な要素を可視化し、顧客のシステム全体のアーキテクチャ・デザインや対話型の価値共創を目的とした施設「ネットワンブリーフィングセンター」で体感できます。
単にスマートグラスの製品の良し悪しだけではなく、お客さんの課題をベースに最適な製品の選定や必要なインフラをディスカッションしながら描くことが可能です。
図5.アーキテクチャ全体像
まとめ
今回はスマートグラスの機能、特徴を簡単にご紹介しました。
本記事以外にもスマートグラスの市場やユースケースをまとめた記事もございますので、
こちらのブログ(スマートグラスを用いたVR, MR, ARとデータ活用)をご覧下さい。
スマートグラスにご興味があっても「必要なインフラがわからない」、「どのように拠点間接続しよう」などのお悩みのある方は弊社担当営業までお問い合わせください。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。