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スマートグラスを用いたVR, MR, ARとデータ活用

ライター:伊藤 千輝
ネットワンシステムズに新卒入社し、IoT/AIの技術の検証/ソリューション開発に従事。また、最新のAI技術をウォッチするために産学連携の取り組みを推進。
現在は製造業をターゲットにスマートファクトリーに向けたデータ収集・集約・加工・保存・活用のためのデータハンドリング基盤の提案導入支援。実際の顧客データを用いた分析支援を行う。
休日は弊社がスポンサーとして支援する大分トリニータをサポーターとして応援。

目次

スマートグラスの市場動向

スマートグラス市場が、COVID-19の影響で2020年から急激に動きはじめています。ある調査報告では、2030年にはスマートグラスの世界市場規模は、約13兆円にも上るというレポートも報告されています。

スマートグラスはVR, MR, ARなどの技術と組み合わせて利用されます。

VR技術は、ゲームやアミューズメントなどエンタメ要素で活用されてきていましたが、最近はバーチャル会議などのオフィスでの活用や、商品のVR体験などでリテール関連での活用もよく目にするようになりました。

AR, MR技術は、2020年から特に産業用途での活用が進みつつあります。COVID-19の影響で、動き方改革や遠隔支援、労働力不足を補うための作業効率化を目的としたAR, MRの需要が増加傾向にあります。

短期的には、スマートグラスへの資料や手順書投影などの簡易的なAR技術が活用され、長期的には、CAD, CTデータなどの投影やより高度なデジタルコンテンツの作成が簡易化されれば、MR技術がさらに伸びていくとされています。

AR, VR, MRの技術に追いつくようにデバイス自体も進化していますが、本格的な普及はApple, Googleなどの大手メーカーの参入が進む2022年以降とみられています。スマートフォンやスマートウォッチなどと同じようにスマートグラスが一般的になるのもそう遠くはないのでは?と考えられます。

図:VR, MR, ARの違い

データ活用とスマートグラス

スマートグラスは単なるデバイスの一つで、デジタルコンテンツを活用することでユースケースが増えてきます。このデジタルコンテンツの元となるのが、企業で蓄積されたデータになります。例えば、製造部門で言えば、IoTデータやマニュアル、設計データ(CADも含む)。IT部門で言えば機器のログやコンフィグデータ、人事データなどもこのデジタルコンテンツの元データとなります。

こうした企業内のデータをデータ活用基盤に集約し、可視化・分析、リアルとバーチャルの融合でDX推進、働き方変革を実現することが可能になります。将来的にはデータを人工知能(AI)が解析し、シミュレーションの結果を人にフィードバックし、気づきを与えることなども可能になると考えます。

このように、スマートグラスは現場へのフィードバック端末(タブレットやPC )の一つで、デジタルコンテンツをデータを用いて作り上げることで、現場で働く人へ直感的な支援を行うことができるようになります。

また、スマートグラスをセンシングデバイスの一つとして活用するケースも出てきています。例えば、スマートグラスのカメラ画像は現場の作業記録のログになります。熟練の作業員はどこを見てどういう作業を行っているのか、人の行動データをとるセンシングデバイスの一つと言えます。最近のスマートグラスには衛星利用測位システム(GPS)や加速度センサーが付いたものも出てきているので、動線分析や作業員の安全確認のために使われるケースもあります。

図:データ活用とスマートグラスの位置づけ

ユースケース

弊社で進めているユースケースをいくつかご紹介します。

製造業向けスマートマニュファクチャリングのユースケースでは、国内拠点や海外拠点からの遠隔支援があげられます。COVID-19の影響で移動が制限され現場に行けずになってしまい、その課題を解決するためのユースケースは多く検討されています。工場内DXの一環として、手順書をAR表示しペーパーレス化したり、作業ワークフローのリストを登録して音声認識でチェックをしつつ、現場作業の記録を取得することに利用されるケースもあります。将来的には、CADデータや設計した新設ラインのシミュレーションを、MR技術を用いて実装したいというニーズもあります。

ヘルスケアも同様にCOVID-19で移動が制限されたため、病院間や患者の自宅との間で遠隔医療などのユースケースがあります。人と人との接触が制限される中で、場所にとらわれない医療の実現に向けてスマートグラス活用ニーズがあります。手術や診断中に熟練医師のサポートをもらったり、研修医への指導などの後継者育成、教育目的での活用もユースケースとして考えられています。

海外で多く事例としてあがるのが、物流のユースケースです。こちらは荷物のピッキング作業時にQRと連携して出荷指示書(ピッキングリスト)を表示し、ミスの可能性のある作業に瞬時にアラートを上げて作業ミスを軽減させたり、ピッキング作業自体の業務を効率化させるために活用されています。

その他のユースケースとしては、工事現場やガスや水道インフラ会社での点検作業の遠隔支援や、作業ログの取得など、両手を使う作業をしながら遠隔支援や情報を確認しながら進める必要がある業務の中で活用されるケースがあげられます。

国内での活用はまだまだこれから進むとみられ、現状進まない理由としては、無線環境の最適化や現場の動画をアップロードすることへのセキュリティの配慮などが課題となっています。

ユースケース.png

図:業種ごとのユースケース

ネットワンブリーフィングセンターでのお客様向けデモンストレーション

弊社は、スマートグラス活用に必要なインフラとユースケースに応じた最適なソリューションをご提案できるよう、アーキテクチャーの技術的な検証を行っています。

弊社のスマートグラスのソリューションは、デジタルトランスフォーメーション(DX)に必要な要素を可視化し、顧客のシステム全体のアーキテクチャー・デザインや対話型の価値共創を目的とした施設「ネットワンブリーフィングセンター」で体感できます。単にスマートグラスの製品の良し悪しだけではなく、お客さんの課題をベースに最適な製品の選定や必要なインフラをディスカッションしながら描くことが可能です。

現在製造業のお客様を中心に、シナリオベースのスマートグラスのデモンストレーションを体感、実際に活用できるためのインフラをディスカッションできるスペースを準備しています

図:お客様向けデモンストレーション

まとめ

今回はスマートグラスの市場動向、ユースケース、弊社の取り組みを簡単にご紹介しました。具体的な製品の検証内容やユースケースの詳細などを連載したいと思います。

スマートグラスにご興味があっても「必要なインフラがわからない」、「どのように拠点間接続しよう」などのお悩みのある方は弊社 担当営業へお問い合わせください。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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