
- ライター:荒牧 大樹
- 2007年ネットワンシステムズ入社し、コラボレーション・クラウド製品の担当を経て現在はAI・データ分析製品と技術の推進に従事。最近では次世代の計算環境であるGPU・FPGA・量子コンピュータに注目している。
目次
はじめに
ロボットのビジネスでの活用は産業用ロボットから始まり、産業用ロボットは人との作業場所を分けて利用されて来ました。AI等の技術面での発展に従い、最近では人の近くで作業を行うサービスロボットや共働ロボットが増えて来ています。サービスロボットが活躍する場所は増えてきており、今後は大量のサービスロボットを管理・運用することが課題となります。この問題を解決する為に、ロボットの状態を管理・運用するRobOpsの重要性が今後増していくと考えられます。
RobOpsについて
大量のロボットを管理運用する仕組みはRobOpsと呼ばれています。現在は1種類のロボットを、1つのベンダーから購入して、1ヵ所で少数運用する事が多いですが、今後は複数種類のロボットを、複数のベンダーから購入して複数の場所で大量運用する事になると予想しています。大量のロボットが導入されるに従って、少数のロボットを前提として回っていた管理・運用は破綻すると考えられ、この大量のロボットの管理・運用の問題を解決するのが、RobOpsと言えます。RobOpsの市場はまだ始まったばかりで製品やサービスは少ないですが、これからは増えて行くと予想されます。現在リリースされているRobOpsのサービスは、AWSのRoboMaker、Formant、InOrbit等があり、今回はこの中でInOrbitを解説します。

RobOpsを実現するInOrbit
InOrbitは、RobOpsを実現するSaaSベースのサービスです。InOrbitで管理するロボットはインターネットへの接続が必要で、クラウド上のInOrbitのサービスとロボットを接続する必要があります。ロボットにInOrbit Agentをインストールすると、自動的にInOrbitのクラウドに接続され、InOrbitのダッシュボードからロボットを管理・運用出来ます。InOrbit Agentは、ROSベースで動作しているロボットであれば、自動的にROSトピックからセンサーデータの収集を行います。ロボットのCPU・メモリ・ネットワークの使用率等は直接OSからデータを収集します。ロボットがROS未対応の場合は都度相談となります。

InOrbitが提供する機能
InOrbitは以下の機能を提供します。
- ダッシュボード機能
ロボットのステータスの一覧と、ロボットを指定しての詳細情報の表示が可能。設定で指定をすれば、ロボットで収集されている各種センサーの情報を表示。

- Navigation機能
ロボットの操作や位置情報が分かる機能。ROS Topicで流れているMapの情報やCameraの情報をベースにロボットが地図上の何処に位置しているかを表示する。Robotの上下左右の遠隔操作や、ゴール地点を指定しての自動走行も可能。

- Action
センサーデータ等の条件に応じて、事前に指定されたスクリプトをロボット内で実行する。実行前には、管理者に承認を求める事も可能。例えば電池の残量が減ってきたら、充電場所にロボットを自動的に移動させる事が可能となる。
- Time Capsule
不具合が起きた時点から、時間を遡って各種センサーやステータス情報を確認出来る。Errorを選択すると、その時のロボットの位置情報やCPU使用率等の各種データが表示される。

まとめ
サービスロボットや協働ロボットの導入はこれから進んで行き、RobOpsの重要性はこれから益々大きくなっていくと考えられます。技術面でも今までバラバラだったロボットの仕組みや、内部のソフトウェアの標準化はこれから進んで行き、RobOpsの導入環境も整っていくと予想されています。また、ロボットが増えて行くにしたがって、ネットワークやセキュリティのようなロボットが利用するインフラも重要になると考えられます。ネットワンはこのような、ロボットが活躍する為のインフラをお客様に提供する事を目指しています。次回はInOrbitを実際のロボットにインストールして運用した例を紹介します。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。