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NEXT GIGA(スマートスクール)へ ~ スムーズなクラウド利用をはばむものは?  ~その4

ライター:阿部 豊彦
経歴:エンタープライズ系インフラの提案、設計、構築や、SDN提案、
工場IoTネットワークやセキュリティのコンサルなどを担当。
ファシリティ、インフラ、セキュリティなどボーダーレスです。
昨年末から文教フィールドへ参入。

目次

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その1 通信速度(通信帯域)(Wi-Fi(無線LAN)区間、有線LAN区間)編

その2 通信速度(通信帯域)(外部回線の利用)編

その3 通信速度(通信帯域)(デジタル教科書と学校サーバ)編

その4 セキュリティ(Wi-Fi(無線LAN)区間)編

その5 セキュリティ(有線LAN区間、外部回線の利用、テレラーニング)編

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■セキュリティ編

教育情報セキュリティポリシー改訂等についても検討し、高速大容量、機密性の高い、安価なネットワークを整備する必要があります。

多くの学校で「プライバシーは大丈夫か?」という声を以前からたくさん聞きますが、本当のセキュリティホールはどこでしょうか? 検討すべき部位は多岐におよびます!


      

   セキュリティホールが発生すると考えられる部位(例)

自治体や教育委員会が、学校のセキュリティポリシーを作成するときに参考にされている、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」があります。従来、政府情報システムのクラウド利用が「クラウド・バイ・デフォルト」として発表されていましたが、学校の教育情報システムもクラウド利用へと舵を切っています。

その4 セキュリティ(Wi-Fi(無線LAN)区間)

Wi-Fi通信のセキュリティ規格としてWPA(Wi-Fi Protected Access)で暗号方式と鍵管理、暗号化方式、関連する認証方式が決められています。

■WPA

WPA(Wi-Fi Protected Access)には「パーソナル」(ご家庭向け)と「エンタープライズ」(企業向け)があります。利用・運用のしやすさとセキュリティ強度のバランスが異なります。

「パーソナル」は家庭向けW-Fiルータでよく利用するセキュリティ設定で、「エンタープライズ」に比べるとセキュリティは低くなります。「WPA3エンタープライズ」が現在最強のセキュリティ設定となります。

それぞれで認証方式が異なります。

・同一SSID内の全端末で共有鍵(PSK)を事前に共有保有する、認証サーバ不要な「パーソナル

IEEE 802.1x認証で端末ごとに個別の鍵を配布する、認証サーバ必要な「エンタープライズ

Wi-Fiセキュリティの雑学


学校でのPCの設定・運用を考慮し、「MACアドレス認証」や「WPA2パーソナル(PSK)」設定する場合がありますが、無線セキュリティとしては低くなります。かと言って「WPA2エンタープライズ(IEEE802.1x)」設定を使うと、外部認証サーバ(Radiusサーバ)を用意したり、PCにデジタル証明書をインストールしたり、生徒がWi-Fi利用時にIDとパスワードの入力を要求されたりしてハードルが高くなります。最終的に、「セキュリティ」と「生徒の利便性、運用管理性」のバランスの問題となります。


■MACアドレスとPSK/SAEの難点

PCの盗難や紛失などが発生したとすると、PSKパスフレーズが漏れてしまう可能性があるため、PSKパスフレーズを変更する必要があります。PSK認証では全員が同じフレーズを利用しているためです。生徒が校外に持ち出すことを考慮すると、危険な方式かもしれません。

MACアドレスは認証という用途には向いていません。簡単に調べて偽装できるためです。本来MACアドレスはPC機体管理用IDで、セキュリティ用ではありませんので。ただ、最低限のセキュリティとして採用する例はあります。


■Private PSK/Identity PSK(PPSK)

中間的なセキュリティ設定が欲しいところです。無線機器のメーカによっては、SSIDで全員同じPSKパスフレーズを使います。盗難PCがあると、全員でPSKパスフレーズを変える必要があります。ところがPPSKでは、同一のSSIDに接続するPCを細かくグループ化して、グループ単位に独自のパスフレーズを設定できます。つまりパスフレーズが漏れてしまっても、影響範囲を特定のグループのみに限定できます。学校で考えるとクラス単位で独自のパスフレーズを設定するイメージです。PSKの被害影響範囲を小さくできる設定方法です。

■WPA3

WPA3はWPA2のセキュリティ拡張として2018年に規格化された最新のWi-Fiセキュリティ規格です。新機能が搭載され、より重要な「機密データ」を使用している市場向けに強度を高めた暗号化機能を提供します。ただし、利用するには、対応するWi-Fi ChipPCに搭載し、PC OSやアクセスポイントが対応する必要があります。

WPA3パーソナルでは、デバイス間でセキュアな鍵確立プロトコルである同等性同時認証(SAE)を活用して、第三者によるパスフレーズ推測からユーザーを保護します。



   

   最近は、「WPA2セキュリティ」も破られることもあるようです。



その5ではここまで検討してきた、ひきつづき通信にかかわる「セキュリティ」の話となります。

「その5 セキュリティ(有線LAN区間、外部回線の利用、テレラーニング)編」」へつづく

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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