
- ライター:塩屋 晶子
- 2012年ネットワンシステムズに入社。Ciscoを中心としたコラボレーション(ビデオ)製品を中心に、新製品の技術検証、案件支援やお客様へのデモンストレーションなど啓発活動に従事している。
最近では、新技術を組みあわせた新しいソリューション開発や検証も行っている。
目次
昨今、COVID-19の影響により、暮らしも働き方も大きく変化しています。働き方では、オフィスへの出社が制限・リモートワークが推奨されることで社員の安否や健康状態を把握することが求められます。
もちろん、専用のサービスを導入している企業も多くあると思いますが、今回はお手軽に安否確認Botを構築しましたので、その内容についてご紹介いたします。
安否確認Botとは
安否確認Botとは、Amazon Web Services(以下、AWS)とCisco Webexサービスを連携させることにより、社員に対して安否確認を行うことができるシステムです。

図1. システム概要図
本システムは、サーバレスアーキテクチャで構成しており、大変お手軽かつスピーディに導入することができます。配信コンテンツはカード形式でオリジナルにカスタマイズが可能です。
そして、利用者にとって一番うれしいポイントは、いつも使っているツールを用いて安否報告ができることです。わざわざ別のサービスへのログイン等は一切不要です。
安否確認Botでできること
安否確認Botでは、決まった日時に、Webex Teamsのダイレクトメッセージとして安否確認カードを配信します。メッセージの受信者が安否確認カードで回答を送信すると、Botは送信完了メッセージ「回答が送信されました」を通知します。

図2. 安否確認カード
マネージャー側では、安否確認Botにコマンドを入力することで、未回答者がいる場合はそのユーザのリストを取得できます。
また、健康状態に問題があると申告してきたユーザがいれば、そのユーザと回答結果の詳細情報を把握できます。全員が回答済みの場合は、「未回答者はいません」と通知されます。
手動で確認するほか、スケジュール機能も持ち合わせています。12時時点での未回答者の一覧が自動でプッシュ通知することでリマインドが可能です。

図3. 安否報告状況の確認
システム構成
本システムでは、AWSとCisco Webex サービスを連携させています。
メンバーへの安否確認カードの送付やマネージャーに対する安否報告状況の自動通知は、Amazon Cloud Watch Eventsで柔軟にスケジュールを組むことができます。
メンバーからの安否確認の回答やマネージャーからの安否確認の報告状況のリクエストは、Cisco Webex TeamsのBotで受信します。
Webhookと呼ばれる仕組みを用いて、メンバーやマネージャーからのアクションをトリガーにAmazonサービス側にリクエストを送ります。
Amazon API Gatewayではそのリクエストを受領し、それをトリガーにAWS Lambdaで実行スクリプトを走らせます。
安否確認回答の結果は、Amazon Dynamo DBに格納されます。送付一覧とデータベースに格納されたレコードを比較し、未回答者の一覧をマネージャーにフィードバックします。
当日分のデータをひとまとめにして、Amazon S3バケットに蓄積することで当日以前のデータをため込んでおく仕組みを実装しています。

図4. システム構成図
2つのサービスを連携させているポイントは、Webex Teamsでルームへのメッセージ投稿イベントが発生したときに、Webhookを用いてAWS API Gatewayにリクエストを飛ばすことです。
Webhook はリアルタイムなイベントをトリガーにサービス連携をする際に有用な機能です。Webex TeamsのWebhookで送信される情報は暗号化されることで、機密データは安全に保たれるためセキュアに利用することが可能です。
また、オリジナルでカスタマイズが可能なカードは、MicrosoftのAdaptive Cards(https://adaptivecards.io/samples/)の仕組みを利用しています。Botからユーザに対してメッセージを投稿するときに添付ファイルを含めることが可能です。
Botから通知する内容をリッチなコンテンツにすることが可能となり、カードに対するユーザの回答やフィードバックを得ることができるため、双方向にインタラクティブなやり取りを実現することが可能となります。
今回ご紹介したカードはほんの一例にすぎません。Adaptive Cardsでサポートされるカードをご覧頂くと様々なユースケースへの広がりを感じて頂けるのではないかと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。弊社では、Cisco Webexサービスをはじめとする働き方改革にまつわるご支援も行っております。
また、最新のテクノロジーを組み合わせたプロトタイピングの活動・お客様へのご紹介やPoC(コンセプト証明)のご提案も実施しています。ご興味のある内容がございましたら、弊社営業までお問合せ頂けますと幸いです。
最後まで、ご覧頂きまして有難う御座いました。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。