- ライター:小林 浩和
- 2011年 ネットワンシステムズ入社
入社後は仮想デスクトップ製品を担当として日々仮想デスクトップに関連する製品の技術調査や検証を実施。
最近では、クラウド連携に向けたオンプレ基盤の自動化やDaaSに関しての技術取得を行い
得られたナレッジをもとにお客様への提案の技術支援等を行っている。
目次
VMwareは2020年4月に、vSphere 7.0とNSX-T3.0とそれらを統合管理するVMware Cloud Foundation 4.0をリリースしました。
今回は、VMware Cloud Foundation 4.0の新機能の一つとなるKubernetesワークロード管理についてご紹介します。
VMware Cloud Foundation (VCF)とは
VCFは仮想マシン・コンテナ基盤の設定・管理の自動化を可能とするハイブリッドクラウド基盤製品です。
VMwareが提供しているクラウドサービスもVCFをベースで実装されているため、プライベートクラウド側にVCFを採用することで同じアーキテクチャでハイブリッドクラウド環境を構築することが可能です。
VCFはSDDC Managerという管理GUIで仮想基盤の自動展開やライフサイクルの管理などが可能です。

VCF4.0の新機能
まず、本題の前にVCF4.0で実装された新機能の一部を紹介します。
- Kubernetesワークロード管理(vSphere with Kubernetes)
- vSphere7.0対応
- NSX-T3.0対応(NSX-Vは利用不可)
- vRealize Suite 8.1対応(現状自動化対応しているのはvRealize Suite Lifecycle Manager のみ)
- vSphere Lifecycle Managerをファームウェアライフサイクル管理(Kubernetesワークロードでは現状使用不可)
- NSX Edgeクラスタの自動展開(Kubernetesワークロードで必須)
実は、今回リリースされた4.0では3.xで利用できていた一部の自動化機能がなくなっているものがあります。VCF4.0は今回の目玉であるvSphere with Kubernetesの実装に特化したバージョンであり、一部の機能は今後リリースされるバージョンに期待されます。
新機能Kubernetesワークロード管理について
VCFではvSphere with Kubernetesの環境で必要となる仮想基盤(vSphere7)、ストレージ(vSAN 7)、ネットワーク(NSX-T 3.0)の基盤をVCFの管理コンソールSDDC Managerから自動展開し、Kubernetes用のワークロードドメインとして登録可能です。
もちろんVCFを利用しない場合でもこれらの環境をすべて手作業で登録することでvSphere with Kubernetesを利用することは可能ですが、VCFを利用することでより簡単にKubernetes環境を構築することができます。
それではVCF4でのvSphere with Kubernetes環境の構築に関して紹介します。すべてを紹介すると長くなるため、今回はVCF4.0で変わった部分をピックアップして紹介したいと思います。
vSphere with Kubernetesに関する内容やワークロードドメイン作成後の操作内容については匠コラムで紹介しているためこちらも合わせてご覧ください。
https://www.netone.co.jp/knowledge-center/blog-column/20200408/
新機能Kubernetesワークロード管理(Workload Domain作成)
まずはKubernetesを使わない場合と同様にSDDC Managerからワークロードドメインを作成します(vCenter、vSAN、NSX-Tなどの自動展開)。
ここで注意点として、現在のバージョンでは新機能であるvSphere Lifecycle Managerは、Kubernetes用のワークロードドメインでは利用できないことです。今後のバージョンでの対応を待つ必要があります。

VCF4.0からはNSX-Vの廃止のため、ワークロードドメインとしてはNSX-Tの設定をのみ入力可能に変更されています。

VCF4.0でワークロードドメイン設定が変わったのは上記となります。vSphereのライセンスとしてはvSphere with Kubernetesが必要となります。
設定が問題なければワークロードドメインが自動展開されますが、この状態ではまだvSphere with Kubernetesとしては利用することはできません。
新機能Kubernetesワークロード管理(NSX-T Edge cluster作成)
vSphere with Kubernetesを使用するときはNSX-TのEdgeクラスタが必須となり、NSX-T側に設定が必要となります。今回VCF4.0でNSX-Tとの連携がより強化されて、SDDC ManagerからNSX-T Edgeクラスタの自動展開が可能となりました(NSX-T Edge、T0、T1の作成)。
基本的には、手動作成するときに使用するパラメータを入力していくだけですが、vSphere with Kubernetesで利用する場合は、Specify Use Caseの選択肢をWorkload Managementにする必要があります。選択することで強制的にEdgeのサイズがLarge、HA有効化になります。ルーティングはスタティックとEBGPを選択することができます。スタティックを選択した場合は、あとで手動設定が必要になります。
IPアドレスやBGP設定などを入力した後に、Validationをかけて問題がなければNSX-T側に自動的にEdgeクラスタ、T0、T1が作成されます。問題なければSDDC Managerのダッシュボードに登録されます。
新機能Kubernetesワークロード管理(登録とValidation)
最後にSDDC managerにKubernetes ワークロード管理として登録とValidationをします。
作ったワークロードドメインを選択してValidationをかけて問題がなければSDDC Managerでの作業は終了です。
その後の作業としては、先ほど紹介した匠コラムのようにvSphere Clientでワークロード管理を有効化するとvSphere with Kubernetes環境の基盤が完成します。完成後はSDDC Managerではステータスを確認することができます。
また、VCFを利用することで今後の最新バージョンがリリースされた場合には、SDDC Managerを利用して各コンポーネントのバージョンアップが包括的に可能となる点が大きなメリットになると考えます。
まとめ
VCF4.0でリリースされたKubernetesワークロード管理機能を利用することで、vSphere with Kubernetes環境を自動展開が可能となりました。VCF4.0を利用することで、仮想基盤、ストレージ、ネットワークの部分を自動展開、各コンポーネントのバージョンアップがより手軽に行えるようになります。
ネットワンシステムズは今後もVMware社のプロダクトをいち早く評価し、迅速にお客様にお届けしていきます。ご興味がある方は是非弊社の担当営業までご連絡ください。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。