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テレワークで会議は難しい?その理由と解決策は?

ライター:藤谷 大輔
2003年より、IP電話やUnified Communicationの分野で製品検証、提案活動に従事

目次

昨今の新型コロナウィルスへの対策で、急遽テレワークを利用されている企業様も多いと思われます。弊社は、数年にわたり“働き方改革”を実践しており、自宅や外出先でテレワークをする場面が普通になってきていますが、それでも今回のコロナウィルス対策としての取り組みではテレワークが不慣れな社員も急遽テレワークをすることとなり、様々な声が聞こえてきています。今回は、数ある業務のうち “会議”をテレワークで行う際の利用者目線での課題を、これまでの弊社の経験をもとにお伝えいたします。

■テレワークだと会議が難しい?
資料作成や各種申請・承認など数ある業務のうち、実際にテレワークをすると“会議”が難しいという声が聞こえてきます。“会議”とそれ以外の業務での一番大きな違いは、扱うメディアの違いに起因します。
資料作成や各種申請・承認などは、PCの画面、究極的にはデータさえあればよいですが、“会議”は参加者が資料を見つつ、音声や映像をやりとりして意思疎通をするリアルタイム性の高いコミュニケーションです。

この資料や音声、映像といった多くのメディアを使うことが、テレワークでの会議を難しくしています。
実際にテレワークにおける会議のどういった点が難しいか聞いてみると以下のような様々な声がありました。

① 電話とは違い会議はPCを使うことが多いが、PCに接続したマイク、スピーカの設定が正しくできず、会議に参加できても聞こえない。(特にVDI環境で発生します。)
② PCなどから会議への接続に慣れておらず操作がわからない。周囲のわかる人に聞きたくてもテレワークだとそもそも近くに社員がいない。
③ 会議開始に手間取り、時間通りに始まらない。
④ 電話は比較的通話時間が短いが会議は通話時間が長いため、外出先では特に周囲の音や会話内容が聞こえてしまわないか気になる。
⑤ 特に自宅の場合、服装や部屋の背景が映り込んでしまう。
⑥ そもそもビデオ越しに顔を出しての会話に抵抗感がある。

etc.

大きく分けて、
PCなどの環境や操作の問題 → ①~③
映像に映る/映像が映ることの問題 → ④~⑥
となります。

PCなどの環境や操作の問題は、機器の準備や操作への習熟で解決されますが、主に心理的な影響の大きい“映像に映る/映像が映ることの問題”の解決はどうすればよいかについて今回は触れていきます。

■“部屋の背景”や服装など見せたくないものをどうするか
自宅の風景や服装を人に見せたく無い、という意識は多くの方で共通のようでテレワークを多く行っている社員にどう対応しているかを聞いてみると、

  • PCを持ったまま壁を背にして会議に参加する。
  • カーテンを引きその前で参加する。
  • 会議の時はボタンのある服に着替え、マスクをして参加する。
  • カメラミュートや物理的にカメラを塞ぎ参加する。
  • カメラの無いPCを使う。

ということで、涙ぐましい対策をとっていることがわかります。テレワークでの会議はPCで画面を利用するWeb会議の活用が多くなることから、Web会議を提供している事業者も背景の映り込みへの対策を始めております。また、背景の映り込み対策や人物加工ができるソフトウェアも登場しております。

(1)仮想背景による写り込み対策

”仮想背景”と呼ばれる機能は、Web会議アプリケーションの設定や外部ソフトウェアにより、カメラで撮影した映像の背景を仮想背景として置き換え、会議参加者にビデオ映像として送信する機能になります。一見、遊びに見えますが、写したくないものを隠す、真面目な機能です。とはいえ、背景画像に趣向を凝らす愛好家が出てくるのも現実です。

Cisco Systems社が提供するWebex MeetingsやZoom Video Communications社が提供するZoom ミーティングで利用できます。

図1 仮想背景

仮想背景では、カメラが撮影した映像から人物を判別し、背景映像として使いたい画像と合成します。

図2 仮想背景の仕組み

いかに人物を認識し対象の人物の映像を作るかが肝となり、各社で仕組みが異なっています。

例えば、Webex Meetingsでは顔から人物を認識している様で、会議中にあとからカメラの視界内に入ると、後から入った人物の” 顔だけ” が表示される、となることがあります。
(図3 左)

一方、Zoom Meetは別の仕組みで人物検知をしているようで、会議中にあとからカメラの視界内に入ると、後から入った人物の” 胴体だけ”が表示されることがあります。(図3 右)

両者とも数秒後には人物認識が正しく行われ正常な表示になるので会議自体には影響はないですが、一瞬、アレ?と思ってしまいます。

また、仮想背景は画像を合成している関係上、仮想背景を使わないときよりも解像度や画質が落ちることもあります。
いろいろ使ってみると、仮想背景は面白い技術でありますが、まだまだ進化中の技術です。

図3 人物検出がうまくいかない場合

背景映り込みというのは、最近問題になったのではなく、1990年代前半のTV電話が登場したときからありました。
現在のWeb会議では、古いTV電話とは比べものにならないくらい高解像なビデオとなるため、写ってはほしくないものも写ってしまいます。古くて新しい課題を最新の画像処理技術を使い、どう対応していくか、興味深い事例です。

(2) バーチャルメイクによる人物加工

“バーチャルメイク”は、部屋の映り込みだけでなく、画像処理で人物の顔を加工する手法です。こちらは、さすがにWeb会議のソフトウェア自体には実装されておらず、別ソフトウェアと連携することで実現されます。
“バーチャルメイク”は、2016年に資生堂がマイクロソフトと協力をして試験運用をした“TeleBeauty(テレビューティー)”がプレス発表されたこともあり、覚えている方もいらっしゃると思います。現在、入手可能な製品としては、Cyber Link社のPerfect Camという製品があります。

Perfect Camは、Windowsの仮想カメラデバイスとして動作します。会議ソフトウェアからPerfect Camの仮想カメラを指定することで、物理カメラで撮影した映像ではなくPerfect Camで加工された映像が入力されます。この仮想カメラを使用することで、Webex Meetingsなどの多くの会議ソフトウェアで利用可能です。

図4 PerfactCam

“バーチャルメイク”は、映像に写った顔を認識しメイク加工を施すほか、顔色の補正や顔以外の部分をぼかす機能もあります。リアルタイムで顔の動きの追従し画像加工するため、実際にメイクをしているように見せることができます。
また、口紅やアイシャドウなどメイクパタンをテンプレート化して簡単な操作で適用できる操作性も重要になります。
カメラの機能が向上したため相手に必要以上に見せたくない、“すっぴんでは写りたくない”という心理の緩和になります。

■ビデオ越しに顔を出しての会話に抵抗感を拭うには
弊社がこれまでに実施していたビデオ会議の活用促進としての利活用ワークショップでも、ビデオ越しの会話は経験が無く抵抗感がある、という意見が出ていました。業務だから~、と言っても心理的に嫌なものは嫌、というのはどうしようもありません。
その解決として考えられるのが、本人映像では無くアバターを使った会議です。

ネットワンブログ記事 “Cisco DevNetアイデアソン&ハッカソン 2020 東京 体験レポート!”の<VtuberになってWebex会議をしよう!>や、TEATORというサービスがその例になります。

TEATORでは、自分の代わりにアバターが会議に参加します。

アバターは単純な立ち絵ではなく、3Dモデルとカメラの写った顔の向きも認識を活用することで、顔を動かすとアバターの顔も動くなど、人の仕草も取り組むことができます。ただ、3Dモデルを使いリアルタイムで作画をいている関係上、動作させるPCのスペックに依存します(Core i7+外部GPUのSurface BookでもCPUは高負荷になります)。VRMファイルという汎用な3Dモデルが使えるのはメリットです。

アバター映像と本人の声が違い違和感がある、という意見もありますが、本人が画面に写らず会議に参加するにはアバター活用はその解決の一助になります。

■最後に
新型コロナウィルスに端を発した感染防止対策としてのテレワークの利用が注目されていますが、弊社も含め多くの企業様で試行錯誤しているかと思われます。幸いなことに弊社は“働き方改革”を進めてきたため、テレワークについての経験やナレッジが多く蓄積されており、お客様にあった最適な環境のご提案が可能です。また、ビデオ会議を手軽に導入できる”つながる会議室”もご紹介できます。ご興味のある方がいらっしゃいましたら弊社営業までお問合せ頂けますと幸いです。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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