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クラウド指向のビデオ会議に必要なネットワークとは? 2/2

ライター:藤谷 大輔
2003年より、IP電話やUnified Communicationの分野で製品検証、提案活動に従事

目次

前回は、インターネットの活用がビデオ会議の世界にも広がってきている事に関してお伝えしました。
今回はビデオ会議でのインターネット活用とネットワークについて引き続き紹介していきます。

ビデオ会議でのインターネット活用は、仮想会議室や多地点接続の提供から始まり、Office365との接続やビデオ端末自体の管理をクラウドですることができるまで進んできております。この”クラウドでビデオ端末の管理をすることができる”事がネットワークの観点からも大きな変革となっております。

従来のビデオ会議でインターネットを活用するには、

・ビデオ端末管理装置とインターネット接続装置を介して、インターネットに接続
・端末毎にグローバルアドレスを割りあて、直接インターネットに接続

が必要で、それなりにお金(=コスト)がかかります。

クラウドでビデオ端末の管理ができるサービスが提供されたことから、ビデオ端末はインターネットへアクセスさえできればオンプレの機器や端末毎のグローバルアドレスを考慮することなくインターネット上にある仮想会議室を活用し、デバイスフリーや社内外とのシームレスな会議をすることが可能になりました。

図1 クラウドを活用するビデオ会議の構成

ネットワークの観点から見ても、ビデオ端末がインターネットへアクセスしクラウドでビデオ端末を管理する仕組みは、ネットワーク設計の簡素化につながります。

具体的には、

・ビデオ端末管理装置とインターネット接続装置が不要となる
・グローバルアドレスを端末毎に割りあてる必要が無く、NAT等の設計が不要
・インターネットへ接続できれば良いので、回線選定の自由度が上がる

となります。
特に、簡単に設置して使いたいというニーズに対して、ビデオ端末とモバイルルータやフレッツ回線とブロードバンドルータと組み合わせることでビデオ会議を簡単に実現することができ、実績も出てきております。

ビデオ会議端末によっては、端末毎にフレッツ等の回線やISDN回線を引く構成もあります。また、ビデオ会議が多くのトラフィックを必要とするため既存のWANにビデオトラフィックを流さずにビデオ専用の安価な回線を引くこともあり、 “ビデオは専用の回線を使用する”という考え方が受け入れられやすい土壌がすでにあります。

この“特定のトラフィック(ここではビデオトラフィック)を通常のWANとは別の安価な回線などから出す”という考え方は、SD-WANの「ローカルブレークアウト」に近い考え方です。
クラウドを活用するビデオ会議はSD-WANと親和性が高く、SD-WANと組み合わせることで低コスト且つ設計が容易なビデオ会議基盤を提供できます。

SD-WANと組み合わせることによるメリットは以下となります。

・ローカルブレークアウト機能によりビデオのトラフィックをビデオ用の安価な回線へオフロードする
・ビデオ機器とネットワーク機器をクラウドで管理することによる展開の迅速化とメンテナンスの容易さ
・アプリケーション分析によりビデオのトラフィック利用率の可視化
・ビデオ専用ということでおざなりになりがちなビデオネットワークのセキュリティを統合脅威管理で強化可能
・ビデオ専用回線を既存WAN回線のバックアップとして活用することによる耐障害性向上

ビデオ会議とSD-WANというとローカルブレークアウト機能に注目されがちですが、SD-WANが提供するセキュリティ強化の機能やネットワーク機器を一元的に管理できる事など、導入作業時の簡素化だけでなく、導入後の運用の観点でも機能性を上げるポテンシャルを秘めております。

前回と今回でビデオ会議におけるクラウド活用とそれを実現するネットワークについて触れてみました。SD-WANというクラウド活用を加速するネットワーク技術も本格導入のフェーズに入り事例も増えてきております。ビデオ会議とSD-WANの組み合わせはお客様のビジネスを加速させるポテンシャルを秘めております。もし、ご興味がございましたら、ぜひ弊社までお声がけ頂ければ幸いです。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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