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アプリはプログラマーが使うんじゃない。現場が使うんだ

ライター:渡辺 耕司
ネットワンシステムズに新卒入社し、ビデオ会議システムやチャットツールなどのコラボレーション製品担当として技術の検証/ソリューション開発に従事。その後、働き方改革を実現するために、コラボレーション製品やVDI等を組み合わせたソリューションの企画・検証を行う。現在は業務効率化を実現する製品の調査・検証を行っている。

目次

アプリケーション開発でレッツDX

 組織で使用されるシステムの多くは既製品か、外部に委託して開発したシステムだろう。用意されたシステムはどんなに綿密なヒアリングや要件定義をしても、技術的に100%要望をかなえることは難しい。また、与えられたシステムの場合、利用者は現状に不満があっても変わること自体に抵抗を感じる傾向にある。そして、不満を解消するためにシステムの改修をするにしても、時間やコストがかかり思うようには進まないことがほとんどだ。さらに、商品開発のサイクルが早く、少量多品種生産が求められる時代では、システム開発が追い付かない。

 このような時代に適しているのがノーコードやローコードと呼ばれるシステム開発環境だ。ここでは、私が社内向けにローコードを使ってアプリケーション開発した感想をまとめる。私の経験が読者の方々のお役に立てれば幸いだ。

いまさらでも聞こう!ノーコードとローコード

 ここでいうノーコードとは、NCDP(No-code development platform=ノーコード デベロップメント プラットフォーム)のことである。JavaやPythonなどのプログラミング言語の知識やコーディング作業がなくても、ドラッグアンドドロップやプルダウンによる設定値の選択など、GUIによる簡単な設定でアプリケーションを作ることができるプラットフォームのことだ。

 そして、ローコードとはLCDP(Low-code development platform=ローコード デベロップメント プラットフォーム)のことである。基本的にはノーコードと同じで、コーディングすれば機能拡張することも可能なプラットフォームとなる。

 どちらも他社製品と連携する機能やサンプルアプリケーションを多数有している場合が多く、作ったアプリケーションのWebサイトに値を入力すると、ある条件を満たした場合に他社製品のチャットで通知する機能を実装することが可能だ。

アプリケーションは地産地消

 私がノーコードやローコードをお勧めする理由は、使えば現場の社員が自分で必要としているアプリケーションを作ることができるためだ。

 誰かに与えられたものに対してはダメ出しが先行する傾向があり得るが、自分が作ったものに対しては不満があってもどうにかして改善しようと前向きになる。また、多少の修正であれば現場で回収できるようになるため、時間やコストも抑えられ、ブラシュアップのサイクルが早くなる。さらに、自分が作ったものや良いと思ったものは周りに広めたり、良いところをアピールしたくなったりするものだ。そのため、完成したシステムは自然と社内に広まり、システムが評価されれば開発者の承認欲求が刺激され、より良いものを作るというDXを加速するスパイラルとなる。これこそが私がノーコードやローコードをお勧めしたいポイントだ。

実際にアプリケーションを作ってみた

 ここからは実際に私がローコードで開発したアプリケーションについて簡単に紹介しようと思う。

 弊社では様々な経験や知識が個人に留まり、全社で共有されないというナレッジのサイロ化が問題となることがあった。対策として、メーリングリストを使用して関係者と共有することや掲示板システムを使ってQAを公開するなどの対策を講じてきた。しかし、メーリングリストはメールが多すぎると読まれなくなり、検索性も悪い。掲示板システムはあっても少し調べて類似事象が見つからないと『担当者に直接聞くほうが早い』という理由で電話やメールで担当者に問い合わせるようになり、システムが使われなかったり、使われても同じような問い合わせが多かったり、問い合わせ件数が減ることはなかった。

 そこで、私がアサインされた商品に関する質問受付システム開発メンバーは本システムに下記3つの機能を実装することにした。

1.先行入力検索機能

  • 特定のフィールドに値を入力されるたびに順次ナレッジ内の類似事象を検索し表示する機能

2.ナレッジ投稿機能

  • 特定のフィールドの値をナレッジとして登録し、先行入力検索機能やナレッジ検索機能の対象とする

3.ナレッジ検索機能

  • 検索ワードやタグを使用して目的のナレッジを検索する機能
  • 閲覧数が多い順や評価の高い順などの上位のみを自動的に表示することも可能

 先行入力検索機能を質問受付画面の件名入力フィールドに関連付けることで、質問者が件名に製品名や質問内容を入力した時点でナレッジが検索される。類似質問があれば、質問者はその場で問題を自己解決でき、質問件数を減らすことができる。
 また、類似質問がなかったとしても質問が解決したときには、回答者が回答までに至る過程をナレッジ投稿機能で即座にナレッジとして登録でき、先行入力検索機能やナレッジ検索機能で、登録後は該当質問を全社員が閲覧できるようになる。

まとめ

 今回は私がローコードで開発した質問投稿から自己解決や質問の回答、ナレッジの公開を実現するアプリケーションについて軽く触れた。
 別で開発しているシステムでは、すでにWebexという弊社が取り扱っているコラボレーションサービスと連携して、ステータスの変更や一定期間変更がない場合に通知する機能を実装したり、分析システムと連携するシステムの開発も進めている。弊社はネットワークはもちろんのこと、セキュリティやコラボレーション、アプリケーション開発に精通したエンジニアが多数在籍しているため、機会があればまたローコードやノーコードで開発したアプリケーションについて紹介したいと思う。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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