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自宅のネット回線見直しでテレワーク環境を改善

ライター:由原 亮太
新卒入社後、主にCisco製ルータ担当として技術調査、検証評価、提案および導入支援に従事。
現在は担当領域の拡大に伴い、無線や認証、仮想化など幅広く対応中。

目次

ネットワンシステムズ 第3応用技術部 由原です。

新型コロナウイルスの流行によって弊社でも原則テレワークによる勤務になり、自宅のインターネット回線を利用してテレビ会議システムなどにアクセスすることが増えてきました。

在宅勤務を数か月間続けていく中で自宅のインターネット回線の品質が業務時間帯に著しく低下していることに気づいたことをきっかけに新型コロナウイルス流行後のトラフィック量の推移について調べてみたところ下記のようなレポートが上がっていました。


NTT Communications インターネットトラフィック推移データ

総務省 新型コロナウイルス感染症の影響下における インターネットトラヒックの推移について


トラフィック量を新型コロナウイルス流行前と比較すると、8月17日の時点で回線事業者の視点から見ればおおよそ53%増、プロバイダの視点から見ればおおよそ28%増えているようです。

新型コロナウイルス流行前と変わらぬ業務効率をリモートワークでも維持するためには、業務環境へのリモートアクセスやWeb会議をストレスなく利用できることが重要だと思っており、今回は自宅のインターネット環境を見直した際にどれだけ通信環境が改善したかということを題材にしようと思います。

通信速度低下の原因と改善策

私は趣味の一環でいくつかのプライベートサーバを外部に対して公開している関係で一般家庭よりもトラフィック量が多く業務トラフィックの品質低下が起こりやすい環境で業務を行っています。

具体的にはIPv4 PPPoE方式を利用したインターネットへの接続を行っていました。
この環境において、通信速度測定用の端末以外の余計なトラフィックを全ての遮断した状態で通信速度の測定を行ったところ、午後のピークタイムにおいて下り6Mbps程度しか出ておらずあまり快適とは言えない状況でした。

そもそもなぜPPPoEだと回線の通信速度が遅くなるのでしょうか。
PPPoEを利用してインターネット接続を行う場合、網終端装置(NTE)と呼ばれる装置を経由する必要があります。
NTEは回線事業者網上に存在する機器の1つでPPPoEを利用して任意のサービスプロバイダ(以下ISPという)へと接続するための役割を担っているのですが、このNTEが回線の遅さの原因だと言われています。
NTEもネットワーク機器の1つですので一度に転送できるトラフィックの量が決まっており、流れるトラフィックの量が増えてしまうと必然的に1ユーザあたりの通信できる量が限られてしまいます。
装置の性能限界が来たのであれば増設してしまえば解決する話なのですが、NTEの増設可否の基準がトラフィック量ではなく、接続するユーザ数となっており、1ユーザ当たりトラフィック量が増えたとしても、接続するユーザ数が増加しなければNTEの増設は行われず、ピークタイムに回線速度が著しく遅くなってしまうといった結果を招いてしまいます。
我が家における通信品質の低下もおそらくNTEが原因だと考えられます。

この課題を解決する方法として存在するのが、IPv6 IPoEと呼ばれる契約プランへの変更です。
IPoEを利用してインターネット接続を行う場合、従来のPPPoE接続時にボトルネックとなっていたNTEを通過する必要はありません。
NTEの代わりにゲートウェイルータと呼ばれる装置を経由し、ISPが契約するVNE事業者(VirtualNetworkEnabler)へと接続を行うことでインターネットへ繋がります。
VNE事業者はISPに対してユーザのIPv6インターネットへの接続を行う機能を提供する役割を持っています。
その上設備の増設に対して回線の契約者数などの基準がなく、トラフィック量が増加した際にも比較的柔軟に増設を行ってくれるという強みを持っています。


上記を踏まえたうえで実際にIPoE方式を用いた接続環境に切り替えて同じ条件で通信速度の測定を行ったところ以下のような結果になりました。

下り480Mbpsと接続方式を変えるだけでインターネットへの接続品質が大きく改善されたことがわかります。
業務後のゴールデンタイムでも300Mbps近く安定して出ているため、環境の見直しを行ってからはWeb会議の音声途切れや映像の乱れも格段に減り、快適なテレワーク環境を確保することができました。

最後に

自宅のネット回線というと一度契約をしてしまうと見直しを行うことは殆ど無いという方が多いと思われます。
PPPoEからIPoEに乗り換えるために特別な機器を入れる必要はなく、最近であればWebからの申し込み1つで変更可能なサービスがほとんどのため回線品質が気になる方は一度試してみてはいかがでしょうか。

在宅期間が大きく増えた今だからこそネットワーク環境を改善する絶好の機会だと私は思います。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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