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次世代の計算機を考える

ライター:荒牧 大樹
2007年ネットワンシステムズ入社し、コラボレーション・クラウド製品の担当を経て現在はAI・データ分析製品と技術の推進に従事。最近では次世代の計算環境であるGPU・FPGA・量子コンピュータに注目している。

目次

今回は次世代の計算機について考えてみたいと思います。

今後IoTの広がりで、処理すべきデータ量と計算量は爆発的に増え続けて行くと考えられています。また、第3次AIブームを巻き起こした、Deep Learningも大量の計算を必要とする仕組みとなっており大量の計算処理を行う機械への需要は近年益々高まっています。しかしながら、この増え続ける計算量を支えてきた、ムーアの法則が近い将来に終焉を迎えると予想されています。

これまでのムーアの法則を支えていたCPUの発展を振り返ると、まずは1つのCPUと1つのコアで巻き起こった、クロック競争を思い出します。クロック競争は1秒間での処理数を競うものでした。クロック数の増大が頭打ちになると、次に1つのCPUに乗るコア数の数を競うMany Coreの時代となりました。このMany Coreの時代も数年以内に終焉を迎えると予想されています。Many Coreの時代が終焉を迎えた時、次は必要な計算を、必要な専門デバイスで行うMany Deviceの時代へと向かうと予想されています。このMany Deviceの時代に、特定の処理特化型DeviceとしてFPGA/GPU/量子コンピュータが期待されています。

ネットワンはこのMany Device時代に向けてお客様に様々なソリューションやサービスを提供していきたいと考えています。

それでは各 デバイスの特徴について以降に解説します。

FPGAについて

FPGAはSOC等で組み込み向け用途に多く利用されてきましたが、近年サーバサイドのボードもリリースされています。FPGAを利用する場合は、内部の回路情報であるIPコアとセットで利用します。IPコアの開発を簡単に行う為の開発環境の整備は引き続き行われていますが、回路を組む事になるので専門的な知識が必要となります。その為、サーバでの特定の処理に特化させたIPコアをベンダやFPGAメーカが提供しています。最近では機械学習の推論や、金融計算に特化したIPコアが提供されるようになりました。

FPGAのチップ提供メーカはXilinxとIntelが大手です。各社サーバサイドのボードを提供したりCPUの中にFPGAを組み込んだりしてサーバ上でのFPGA利用を意識した動きをしています。

GPUについて

GPUはグラフィックの3次元計算用のCPUの外部モジュールとして誕生しました。グラフィック計算で必要な行列計算を効率的に行う為、高密度にトランジスタを集積しています。従来からもGPUを科学技術計算で活用する試みは、シミュレーション計算等で利用されていました。近年Deep Learningの計算でGPUを利用すると劇的に計算効率が高まる事が知られ、機械学習の学習や推論の計算にGPUが用いられるようになりました。GPU側も期待に応えて機械学習の計算に特化したモジュールを搭載するようになり、計算効率が劇的に向上しています。

機械学習に最適化されたGPU製品については、現状はNVIDIAとAMDが主に提供しています。

量子コンピュータについて

量子の性質を利用して計算するデバイスは量子アニーリング方式と量子ゲート方式の計算機が実用化されています。量子アニーリング方式はイジングモデルを利用した計算に特化しており、最適計算等の特定の計算に力を発揮すると考えられています。

量子ゲート方式に関しては、量子ゲートを利用して計算を行う為あらゆる計算に対応可能で万能型の量子コンピュータと言われます。量子ゲート方式は量子アルゴリズムを利用して、計算を行った時に劇的な計算加速が得られます。

現在量子コンピュータが実用段階にあるかと言うとまだその段階にはありません。これは、量子コンピュータのビット数はまだまだ小さい為、現実の大きな問題を扱う事が出来ません。実際に現実の問題を扱う為には数年から数十年の期間が必要と考えられています。近年量子コンピュータは劇的な進化を遂げている為この期間は大幅に縮まる可能性はあります。

現状は従来型コンピュータを量子コンピュータが超えたとは言えないのですが、従来型コンピュータを越えたと言える量子超越性が示されるのも時間の問題と言われています。とはいえ、従来型コンピュータもHPC分野でのGPU利用で劇的に高速化が図られている為、どのタイミングで量子コンピュータが従来型コンピュータを追い越せるかの予想を難しくしています。

量子アニーリング方式の機器はD-waveが提供しています。量子ゲート方式はIBMを代表として様々な企業が機器やサービスの提供を開始しています。量子コンピュータは、まだまだ研究段階の為様々な試行錯誤がされているのが現状です。

まとめ

Many Device時代にも引き続きCPUは必要であり続けます。しかしながら、今後は特定の計算を各専用デバイスに渡して計算する時代が来ると考えられます。ネットワンは業界の動向を注視しつつ、お客様に最適な次世代の計算機環境をソリューションやサービスとして提供させていただきます。

次回からはGPU/FPGA/量子コンピュータのそれぞれの特性について詳しく紹介いたします。

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