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ネットワングループが目指す姿②~働き方改革2.0

ライター:篠浦 文彦
2008年にネットワンシステムズ株式会社に入社、同社取締役・執行役員に就任。
同社入社以前は、シスコシステムズ日本法人にて10年以上に渡り、製品企画およびマーケティング業務に携わり、エンタープライズ営業担当、ビジネス開発担当執行役員を歴任。
35年にわたり、製品開発、マーケティング、ビジネス開発業務に従事。
IT業界での豊富な経験を生かし、経営戦略からITを構想し、ビジネスプロセスを改革するなど、多数の経営戦略の立案に携わっています。

目次

前回①では、ネットワングループの直近3年間の取り組みと成果についてお話ししました。②の今回は、これからの取り組み、「働き方改革2.0」についてお話しします。

■「働き方改革2.0」のコアは「DX」と「セキュリティ」

かつてはお客様からRFI、RFPなど要件を示されて、我々はそれに応えて来ました。現状、その要件自体をご相談される機会が非常に増えています。そのためにはコンサルティングが必要となり、さらには従来のシステム導入と構築に加えて、運用も含めたお客様のICTライフサイクル全体をサービスにより支えていく取り組みが必要となります。

どのようなご相談が多いか。「働き方改革」と同様に、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」について、お悩みのお客様が非常に多いのが現状です。具体的に何をやればいいのか、どのようなシステムを導入する必要があるのか、そして、それはどのくらいの費用対効果が得られるのか。多くの日本企業が悩んでおられます。

「DX」については、我々も同様に悩みながら変革を行っています。一例ですと、ERPの活用です。導入する際、グローバルスタンダードな業務標準化を目指して導入したハズなのに、現場の要望に応える中で複雑にカスタマイズが施され、結果としてテーラーメイドなシステムになってしまっています。ネットワンは他社に比べるとカスタマイズの範囲は少ないものの、それでも問題は山積みです。これは多くの日本企業においても同様の課題を抱えておられます。その点をいかにして解決し、システムではなく業務を標準化、改革して強い経営基盤を実現するのか。我々はその課題にまさにいま、取り組んでいます。

そしてもう一つは「セキュリティ」です。オンプレミスにあるデータがクラウドへ移行する、あるいはこれまで取得されていなかったデータを、いかにして安全に取得、管理、活用するか。欧米企業に比べ、日本企業のセキュリティ投資はまだまだ低い水準にあります。その理由は経営層にその必要性と理解がなされていないことにあると考えます。

このように、今後、ますます課題が顕在化する経営におけるデータ活用とセキュリティの確保。その点においても、これまでの3年間での「働き方改革」の実践と同様に、まず我々が実践し、そこで得られたノウハウとデータを公開して、これからの経営にとって必要となる「DX」のための「クラウドを含めたICT利活用」と「セキュリティ」のあり方のヒント、アドバイスを、リアリティを持って行う。いま、我々はその取り組みを進めています。

そしてその取り組みを、ネットワングループでは「働き方改革2.0」と定義しています。

■なぜ「DX」ではなく「働き方2.0」なのか?

我々が過去3年間で実践した「働き方改革(1.0)」のテーマは、どこでも働けるようにする、というものでした。今後の「働き方改革2.0」は、そこにあらゆる業務をデータにより可視化した上での、業務改善が加わります。また、改善だけではダメで、抜本的な「改革」が必要になります。そこで必要になるのが、不要なプロセスとシステムをごっそり捨てる、いわば”断捨離”です。

その活動を「DX」ではなく、敢えて「働き方改革2.0」と呼ぶのは、過去3年間での「働き方改革1.0」が成功した理由が「取り組みと成果を、ネットワンの現場のメンバー全員が語れる」ことにあったから、という理由からです。

営業やSEが移動を減らしてコラボレーションするのみならず、スタッフ部門も含めネットワンの社員全員が、会社支給ではないデバイスも活用し、在宅勤務が可能となり、社内の制度も変わった、という変化と、その成果を体感しています。それこそが我々の強みであり、お客様へのリアリティ、説得力です。一部のスペシャリストだけが提案できるものでは、お客様から変化と認識いただけません。そのため、これからの「働き方改革2.0」も、社員全員が体験します。

生々しい改革当初の抵抗から、変化した結果の成果も含めて、経営層や一部の人間だけではなく全員参加で取り組む。そのために、経営寄りのワードである「DX」を敢えて使わず、敢えて「働き方改革2.0」と呼ぶのです。

■「働き方改革2.0」目指すもの

「お客様のクラウドを含めたICT基盤全体を提供する」という目標は変わりません。そして、経営としての目標は、売上規模よりも収益の高い会社を目指すことにあります。

そのためには、明確な差別化、我々の独自の強みである「独創力」をさらに強化する必要があります。

いま、「働き方改革」において、自社が提供するソリューションを自社で活用して実践し、数値データまで語れる企業が果たしていくつあるでしょう。グローバルな企業のエグゼクティブからも、なぜシステムインテグレーター業界は変革が進んでいないのか?と質問されます。他社のことはわかりませんが、ネットワングループが実践できている理由は、ご説明することができます。

ひとつは、「仮説を立てて、新たなマーケットを作り出し、ユニークで魅力的な会社であり続ける」という、他とは違う、「ネットワンユニーク」を目指す姿勢です。業績が好調なときに敢えて変革というチャレンジを行い、自社の経験はすべてオープンにする。そして、社員もその成果を実感しています。

もうひとつは、発想力と、それをインプリメント、実装するだけの技術力があることでしょう。環境変化の激しい時代において、従来のようにベンダーの言うことを聞いてそれを提供するだけではなく、自ら発想して、変革する必要があります。それには、これまでの積み上げや経験値とった左脳的なものだけではなく、右脳的なひらめき、発想、独創力が問われます。

一例としては、2017年 春、ネットワンコネクト合同会社を設立し、「SD-HCI(Software Defined – Hyper Converged Infrastructure)」という独自アーキテクチャの提供を開始しました。

これまでのベンダーのハードウェア、サービスを提供するシステムインテグレーター、という立ち位置ではなく、さらに上のレイヤとしてのICT基盤を、自社サービスとして提供する。そしてその中のコンポーネントとして、各ベンダーのシステムやサービスを位置づけました。

このようなネットワンユニークな、独創力と強みの提供に、実践したノウハウとデータを加えて、リアリティを持って提供する、というのが、「働き方改革2.0」の目指す姿、ということになります。

会社の成長 ~独創力~

次回③では、もう一つの成長戦略である「統合サービス事業」について、お話しします。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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