ネットワンのアプリ開発とは ~アプリ企画の苦悩と喜び、そして情報システム部コラボ 「匠アプリ」の誕生 ~

ビジネス推進本部 応用技術部
ENT ITチーム
坂田 玲子

「ネットワンでなぜアプリ開発をしているの?」

これまでに無線LANの位置情報を活用して
・社員がいまどこにいるかをマップ上に表示するアプリ
無線LANデバイスの混雑状況アプリ(NOS Insight)
などを開発し、社内で活用して来ました。
その中で「ネットワンでなぜアプリ開発をしているの?」と社内外からよく聞かれます。
その答えは3つあると私は考えます。

1.商品のコモディティ化が進んでいく中でわが社の色を出していくため
2.インフラ屋の視点でユーザの負荷を軽減するアプリを開発するため
3.各ベンダがAPIを出しているのでマルチベンダにインフラを繋げていくため

すでにありそうな物、これから各ベンダが作っていきそうな物、お客様に響かない物を作っては、いけません。ネットワンが開発する意味を持つには上記3つに合致できるプロトタイプアプリを開発しなければ、独りよがりなアプリとなってしまいます。

ネットワン独自アプリ開発企画の難しさ

そこで今回は、アプリを企画するにあたり、開発チームだけでなく、ある2つの部門とタッグを組みました。


図1.アプリ開発体制

実際に運用で使う機会を得る・現場の知見を得ると言う意味でわが社の情報システム部、さらに、応用技術部 無線LANのプロ集団、このチームの人々から意見を得てネットワンのアプリ開発を始める事にしました。
ところが、始まって早々挫折がやってきました。
当然のことながら、情報システム部、無線プロ集団は、運用・無線LANのプロではありますが、アプリ開発のプロではありません。
数回のアイデア発散会を実施し、すばらしいアイデアが沢山でてくるも発散しすぎて具体的なアプリ構想にたどり着かない状況となり早々に目的を失い、出航したアプリ号は沖をぐるぐると回っていました。
1か月ほど悶々とした結果、たどり着いた答え、それはネットワンのアプリ開発を始めた先輩から得ました。「使い続けてもらうアプリの5大ポイント」です。

・多くを盛り込みすぎずシンプルであること
・機能を横に広げすぎると各機能が薄くなる
・特化させること
・アプリのフローをつくること
・特定の問題を解決できること

この5大ポイントと今まで出たアイデア、ヘルプデスク問い合わせ内容の分析を元にインセプションデッキを書き整理しました。インセプションデッキとは、プロジェクトの全体像(目的、背景、優先順位、方向性等)を端的に伝えるためのドキュメントです。
今回のアプリ目的は、
・無線LANのトラブルシュートに絞る
・切り分けの入り口を社員番号から検索とする
・ユーザターゲットをヘルプデスクとし、一時切り分けに特化させる
・2次切り分け、詳細な切り分けはフェーズ2として今後開発していく

上記のようなインセプションデッキをつくり、無線プロ集団に送ってからの反応は早く目を見張るものがありました。今までの無線LANドキュメントを再度読み直し、シンプルな無線LAN一時切り分けアプリに使える技術がないかを洗い出し、わが社オリジナルの切り分けポイントを見つけてくれたのです!

無線LAN一時切り分けアプリ Maturationの誕生!

こうして誕生したアプリは、「無線障害かその他の障害かを一発で切り分けるアプリ」で、Goodと言う表示結果が出た場合、他が原因であるので無線LAN環境以外を切り分けてください。と言うものです。
コードネームをMaturationとしました。
この名前は、無線LANスペシャリストの名前から頂いたのと、熟成と言う意味の英単語を組み合わせました。熟成された美味しいアプリと言う意味です。
アプリの使い方は図2の通りです。


図2.アプリの使い方イメージ

ヘルプデスクに障害問い合わせがあった際に、アプリに社員番号を入れ問い合わせます。
無線障害ではない場合は、Goodの表示。無線障害の場合はBadの文字が表示されます。さらに、Bad情報の場合、無線LANの匠からのアドバイスコメントが表示され、エスカレーション用ボタンをクリックすればトラブルシュートに必要なログセットがダウンロードできるようになっています。ログセットはWLCやPIなど様々な関連機器から情報を集めたもので、無線スペシャリストが厳選したログとなっています。
技術的な論理構成図は図3をご覧ください。


図3.論理構成図

ヘルプデスクは、障害のあった社員番号を入力し、アプリに送信します。アプリは社員番号を元に障害端末のMACアドレスをSplunkから引っ張ってきます。SplunkはApresiaが無線接続認証した際のログを持っています。
アプリは取得したMACアドレスを用いWLCへ端末の情報を要求します。WLCはステータス情報を返し、画面上にステータス情報が表示される仕組みとなっています。
一見するとシンプルなアプリではありますが、例えばBadであった場合にDHCPアドレス取得に失敗しているという状況では、実際にアドレスを固定設定、もしくはipv6の場合はどうか、といったように1つ1つのステータスも細かい検証の上、アプリを作成しています。

無線LAN一時切り分けアプリ今後

現在、わが社のヘルプデスクにてテスト運用中です。そのフィードバック結果を元に機能を拡充し使いやすいアプリへ進化させていく予定です。
更に未来への展開として、クラウドサービス化や、社員へ配布し自らトラブルシュートしてもらえるアプリとして使えないか、なども検討中です。

ネットワンアプリ開発のためのコミュニティ発足とアイデア収集アプリの作成

先に書いたように、ネットワンは新しいチャレンジとしてアプリ開発を行っていきます。
独善的なアプリになってしまわないよう、インフラ屋の目線を持ちつつお客様の目線も必要です。
そうした目線を持っている現場に立つネットワン社員から、アイデアを集め、プロジェクト化し開発して、アウトプットを出す。その後、お客様からの“いいね”が集まったら、実際にお客様に提案していければいいな。
そんなコンセプトを元に開発メンバーで、コミュニティを発足しました。
さらに、コミュニティ独自にコンセプトに則ったアプリを作成し18年度以降、全社展開の予定です。アプリでは、アイデアがプロジェクト化されると同時に、開発用VM、チャットルーム、コードのリポジトリであるGitLabが作られ、開発環境が自動で整うようになっています。ここから生まれる新しいネットワンのアプリにご期待ください。


図4.コミュニティアプリ


図5.コミュニティキャラクター はつめいか

参考資料

・匠コラム:無線LAN位置情報APIで「働き方革命」を促進!!

執筆者プロフィール

坂田 玲子
ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 応用技術部 ENT ITチーム所属

ネットワンアカデミー講師として、約10年マルチベンダ環境における企業やサービスプロバイダのネットワーク構築・運用コース、RedHatコースを担当していたが、自動で演習環境を提供するセルフラボを開発したことで、プログラムに目覚め、講師からアプリ開発担当者に転身し現在に至る。
イラストが得意で、当社のキャラクター「コアルータン」をデザインした。
・CCIE RS
・CCIE SP
・シスコ認定インストラクター(CCSI)
・レッドハット認定インストラクター(RHCI)


図6.コアルータン

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