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光トランスポートとコラボするFlex Ethernetって?

匠コラム
ネットワーク

ビジネス推進本部 応用技術部
コアネットワークチーム
関原 慎二

データセンターの急成長に伴いルータやスイッチのインタフェース速度は高速化が進んでいます。一方、光トランスポートネットワークはビット当たりのコストを重視するために柔軟性に欠ける面があります。
そこでイーサネット・サービスレイヤを光トランスポートレイヤのパフォーマンスに適用させる取り組みが業界を挙げて行われています。今回はフレキシブルなレートを実現するFlexE(Flex Ethernet、フレキシー)についてお話したいと思います。

(1) イーサネット高速化の歩み

今日、我々が利用する通信サービスは主にイーサネットフレームが使用されています。そして光トランスポートネットワークを介してデータセンターと通信を行いクラウドを中心とした様々なサービスが提供されています。インターネット技術の登場までは音声サービスが通信の中心でしたが、登場後はイーサネットフレームを使用したデータサービスになりました。イーサネットのスピードは1980年台には10Mbpsでしたがその後10倍のペースで高速化が行われ100GbpsがIEEE(*1)で標準規格化されています。

また光トランスポートも同様に高速化が進み、ITU-T(*2)標準として100Gbpsが規定されています。さらにデータセンターのサーバー向けに10Gbpsと100Gbpsの間に40Gbpsが規格化され、現在は400Gbpsの標準化がIEEE及びITU-Tで開始されています。

(2) FlexE (Flex Ethernet)登場の背景

近年、アプリケーションの多様化が進むにつれてイーサネットのスピードを最適化しようという動きが起きています。例えばデータセンターのイーサネットは10GbEから40GbEや100GbEへ高速化が進んでいますが、センター内のサーバーからTOR(Top of rack)スイッチへの接続に新たに25GbE技術を開発することで効率的かつ経済的に収容を行うソリューションが登場しています。現在、25Gイーサネット・コンソーシアムで検討されIEEE802.3byで標準化が行われています。

また無線LANのAP(アクセスポイント)でも高速無線LAN規格であるIEEE 802.11acの対応に向けて2.5GbE/5GbEの標準化がIEEE802.3bzで行われています。このように最適化したソリューションを要望するマーケットを背景にフレキシブルなスピードのイーサネットが要求されています。

一方、光トランスポートネットワークでは1波の光信号によるコヒーレント100G伝送が実用化され400Gに向けた技術開発が行われています。さらにユーザやアプリケーションが期待するオンデマンド帯域の実現に向け150G,200G,250Gなど様々なコヒーレント技術も開発が進んでおり、ビットレートや変調方式さらに複数の光波長を組み合わせることで伝送帯域の効率化やネットワークの最適化を行う取り組みも開始されています。

しかし、一般的に光トランスポートの開発はルータやスイッチに比べてその展開に時間を必要とします。このような状況を背景にデータセンター内のルータやスイッチからのイーサネットフレームを柔軟かつ効率的に光トランスポートネットワークに適応させる技術としてFlexE(Flex Ethernet)が登場しました。

(3) FlexEの概要

FlexEは2016/3にOIF(*3)でVer1.0が規定されました。図1に示すIEEE802.3で規定されるイーサネットのMACレイヤとPCSレイヤの間に新しくFlexE Shimレイヤ(注:Shimは詰め木の意)を導入します。そしてこのShimレイヤにTDM(*4)フレーム構造を追加することにより、クライアントからのイーサネットフレームを以下の3つのFlexEの形態に変換します。

図1 Ethernet vs Flex Ethernet

①Bonding/ボンディング
光トランスポートの複数波長をグループ化することで、大容量のクライアントサービスを帯域の小さい光トランスポートを使用して伝送します。例えば、既存の100G光トランスポートの波長4本をグループ化して新しい400GbEサービスを伝送するような場合です。従来は400Gイーサネットを伝送する場合は400Gの帯域に対応する光トランスポートが必要でした。

しかしFlexEではクライアントMACから入力される400GbEを図2に示すFlexE Calendarブロックにより100GbEにマッピング変換を行い、4つの100G光トランスポートフレームにグループ化(図2)して、対向側へ送信します。このように新しい光トランスポート技術を待たずに既存のレガシーネットワークを活用し、最適なコストで新しいサービスを先取りして提供することが可能になります。

図2 FlexE Shimレイヤ
図3 Bonding

②Sub-Rating/サブレーティング
クライアントのサービスレート(クライアント信号)を25GbEの粒度でフロー制御を行わず、より広帯域な光トランスポートネットワークに連動させて伝送します。例えば25GbEや50GbEのクライアント信号を100Gの光トランスポートネットワークを使用してサービスを提供するものです。光トランスポートネットワークのインタフェースを変更することなくダイナミックにクライアントのサービスレートに適応することでネットワーク効率を向上することができます。

図4 Sub-Rating

③Channelization/チャネライゼーション
チャネライゼーションは複数のクライアント信号をグループ化し、光トランスポートネットワークを介して伝送します。これは光トランスポートのOTN/ODUFlexスイッチング機能と連携して動作します。例えば、50Gクライアントサービスを2つと200Gのクライアントサービスをグループ化して300G光トランスポートインタフェースを使用して伝送を行うようなスケーラブルなサービスを提供可能にします。

図5 Channelization

(4) FlexEのユースケース

FlexEと光トランスポートを連携することでL0/L1の広帯域化や高機能化が可能になります。FlexEのアプリケーション(Bonding/Sub-rating/Channelization)は既存のレガシー光トランスポート装置を使用するタイプ(FlexE Unaware Transport)や光トランスポート装置でFlexEの認識を行うタイプ(FlexE Aware Transport)などがあります。

FlexE Unaware Transportでは同一の光ファイバーにFlexEクライアント信号をBondingします。その構成例は図6に示すように400GbEルータの信号をFlexE shimで100G x 4本にFlexEグループ化を行い、FlexEに対応していないレガシーの光トランスポート(例えば200G光トランスポート)の信号をボンディングし活用することで400GbEの広帯域を実現するものです。

図6 FlexE Unaware Transport の構成例

一方、FlexE Aware Transportでは光トランスポート装置でFlexEのセクション・コントロールチャネルを終端することでFlexEクライアントと光トランスポートが連携してダイナミックにデータレートの変更が可能になります。例として図7に示すように光トランスポートネットワークで障害が発生した際のルート変更時に、クライアントのサービスレートを連動して調整することができます。

尚、この他に光トランスポート装置で一度、FlexE Shimを終端してFlexEクライアント毎に光ネットワークポートを介して対向側へ送信するFlexE termination in the Transport構成もあります。興味のある方はOIF FlexE実装規定(*5)を参照して下さい。

図7 FlexE Aware Transport の構成例

まとめ

FlexEは光トランスポートとのコラボレーションによりBonding、Sub-Rating、Channelizationといった柔軟なインタフェースを提供します。そしてSDNなどのソフトウェア制御により、今後はプログラマブルなオンデマンドサービスが提供可能になります。

2016年に米国で開催された光通信の国際会議であるOFC(Optical Fiber Communication Conference)において、FPGAメーカのザイリンクス社によりFlexEを使用したFlexible
Optical Transportのデモが行われました。そして現在、ルータや光伝送などのメーカにおいてFlexEを実装した装置開発が開始されています。

用語補足

(*1) IEEE:
Institute of Electrical and Electronic Engineersの略。
Ethernet分野など幅広い分野で、標準化団体としての活動を行っている。

(*2) ITU-T:
International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sectorの略。
国際電気通信連合の部門の一つで、通信分野の標準策定を担当する電気通信標準化部門。

(*3) OIF:
Optical Internetworking Forumの略。
光ネットワーク技術を推進するフォーラム標準化団体で、光ネットワーク機器及び関連するコンポーネントの業界標準(IA:Implementation Agreement)や相互接続試験を実施。

(*4) TDM:
Time Division Multiplexingの略。
伝送路に複数の信号をまとめ、同時に伝送できるようにする時分割多重化技術。

(*5) Flex Ethernet Implementation Agreemen:

執筆者プロフィール

関原 慎二

ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 応用技術部 コアネットワークチーム所属。
通信機メーカ入社後、キャリア向け伝送装置のハードウェア開発、LSI設計等に従事。
ネットワンシステムズではオプティカル製品(FTTH、WDM)の評価、検証及び案件技術支援を担当。

  • ADVA Certified Expert #083193
  • 工事担任者デジタル1種

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