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大規模ネットワークにおけるLFAを用いた高速切り替え手法の概要、特徴の解説

匠コラム
ネットワーク

ビジネス推進本部 応用技術部
コアネットワークチーム
安田 賢治

ネットワークの可用性に対する要求は年々高まっています。特に通信事業者、ISPのネットワークでは最低50mec以内の切り替わりが求められると言われます。OSPF等のIGPでは障害を検知してから、RIBの再計算が行われてからバックアップパスを作成しますので、パスが切り替わるまで数秒、時間がかかります。そこで、高速切り替えを実現する技術の一つにLFA(Remote Free Alternate)技術があります。これはあらかじめ迂回経路を準備しておき、障害が発生するとバックアップパスに即座に切り替わる手法です。
本コラムではLFA、そこから派生するRemote-LFA・TI-LFAの概念、動作について説明します。

3つのLFA技術

• LFA(IP-FRR)

  • Loop Free Alternateの略で、Dynamic Routing Protocolを使用した高速切り替え技術
  • あらかじめバックアップパスを準備しておき、障害が発生すると即座に切り替わる
  • IP-FRR(Fast Reroute)とも呼ぶ

• Remote LFA

  • LFAでルーティングループが発生し、バックアップパスが作成できない場合に使用
  • ルーティングループが発生しないノードまで*T-LDPトンネルを張ってバックアップ経路を構築する方式
  • トポロジによってはT-LDPトンネルを張る対象となるノードが存在しないため、バックアップ経路を100%用意できるとは限らない

• TI-LFA

    • あらゆるトポロジに対して100%バックアップ経路を用意することが出来る方式

*T-LDP(Targeted-LDP) 直接接続されていないノードに対して、トンネルを張り、ラベル交換をする場合に使用。

次に、各LFAの詳細についてご紹介します。

LFA(Loop Free Alternate)

ノード(ルータ)6台、リング構成のリンク障害時における、R2からR6への通信におけるトラフィックの切り替え動作を考えます。
以下の構成(図1)のようにR2-R1間で障害が発生したとします。その場合バックアップ経路としてR3経由で通信します。
経路切り替わりの仕組みを説明します。R3から見てR6宛のコストは、R1経由は6, R3経由は4です。
R1経由 > R3経由のため、バックアップパスが機能し、R3に迂回する経路をとります。つまりルーティングループは発生しない動作となります。

LFAの課題点:
しかし、以下の構成(図2)ではバックアップパスがあるにもかかわらず、利用できないケースがあります。
下記の例では、R1-R6間のコストを1とします。ここで、R2-R1間で障害が発生すると、R3経由のルートが使えずにバックアップが存在しません。
その理由は、R3から見て、R3-R6間でのコストがR1経由だと3です。R3経由だと4となり、R3から見るとR2へのコストの方が低い(R1経由<R3経由)ため、R2にパケットを戻してしまいます。(ルーティングループ発生!)

そこで、この問題の解決方法としてrLFA(Remote LFA)という手法を使います。

rLFA(Remote LFA)

LFA の問題を解決する、もしくはカバレッジを広げるために、提案されたものです。
簡単に言うと、LFA で問題になったルーティングループが発生する状況を、ループが発生しないノードまでトンネルを張り、パケットをトンネルの宛先まで飛ばそうという発想です。

rLFAの概念および用語について以下の図3を用いてご説明します。

• P Space

計算ノードから見て、最短経路に障害リンク(保護対象リンク)が含まれないノードの集合。本構成では以下のようになります。

  • R2 が R2-R1リンクを使わずに直接行ける範囲 ⇒ R3、R4
  • R5はR1経由よりR3経由のほうが コストが小さいためP Spaceに含まれない。R6も同様。

• Extended P Space

  • R2のP Space + R2-R1間を除いた直接ネイバーの P Space を合わせた範囲。
    (R3から見た範囲)
    ⇒ R3、R4、R5

• Q Space

  • 対向ノード(R6) への最短経路にR2-R1間を通らないノードの集合。
    ⇒ R1、R4、R5、R6

• PQ Space

  • P, Extended P と Q の交わる部分。
    ⇒ R4、R5

P-spaceとQ-spaceを選定して、両方のspaceに所属するノード(PQノード)をトンネルの宛先とします。ここではR2から見て近いPQノード(R4宛)にT-LDP(Targeted-LDP) or RSVPでトンネルを張ります。(本構成ではMPLS環境下のLDPベースで説明したものです。)
R4までトンネルが張れたら、ラベルをパケットにスタックします。ここではouter ラベルをPQノード宛(R4)、inner ラベルをR6宛にすることで、R6までパケットが転送できます。
(本説明ではPHP(Penultimate Hop Popping)は使用していません。また、Extended P Spaceは説明の単純化のため、本説明では例に挙げておりません。)

rLFAの課題点:

しかしこれでも、カバレッジの問題は残ったままです。
例として、以下の図4のようにR6-R5間のコストを10に設定した場合、Q-SpaceがR1とR6だけになり、P-Spaceと交わる部分が無くなります。そのためPQ Space が存在しないことになり、計算上のバックアップパスが存在しないことになります。

この、問題を解決する方法として、TI-LFAという手法を使います。

TI-LFA(Topology Independent-LFA)

rLFAで問題になった、PQノードが見つからない場合でもバックアップパスを作成する技術です。
TI-LFA の場合、PQ Spaceが 存在しなくても、R5から、R6-R5間のリンクにさえパケットを流せれば、バックアップパスとして利用できるようになります。
そのために以下のノード(図5)の選定が必要になります。

• Pノード/Qノードの選定

  • P-spaceに最も近いQ-spaceのノードをQノードとする
  • Q-spaceに最も近いP-spaceのノードをPノードとする

• 転送方法

  • ノードを識別するNode SID と、ノード毎の隣接関係を示すAdjacency-SID(adj-sid) ラベルを付与する。
  • 対向ノード宛のラベルの前にPノード(R5)のQノード(R6)宛adj-sidラベル、その前にPノード(R5)宛node-sidラベルをスタックし、パケットを転送します。
    (本説明ではPHP(Penultimate Hop Popping)は使用していません。 )

まとめ

高速切り替え手法として、各LFA技術の用語や概要といった特徴とパケット転送の基本動作について説明しました。説明自体は長くなりましたが、バックアップパス自体はルータが計算するもので、設定自体は簡単です。高速切り替えは他にMPLSでも可能ですが、LFA技術はルータ単体で動作できますので、他ルータのネゴシエーションや設定の必要がありません。高速切り替えを検討する際に、LFAも候補の一つとしてご検討いただければと思います。

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執筆者プロフィール

安田 賢治

ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 応用技術部 コアネットワークチーム
所属
ビジネス推進本部 応用技術部 コアネットワークチームのJuniperルータ担当として従事
過去に営業部経験を持ち、モバイルビジネスにも精通している

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