Beyond 100G 光通信を支えるオプティカル技術

ビジネス推進本部 応用技術部
コアネットワークチーム
松井 裕二

光ファイバを利用するネットワークでは、ひとつの線路障害がサービスに大きな影響を与えることとなる。特に、光ファイバと直に繋がるレイヤ1機器(例えば、WDMシステム)においては、その影響が顕著に出る。
本コラムでは、光ファイバ通信の品質を支える技術について紹介する。

光ファイバネットワークにおける線路監視

光ファイバ通信における障害は、以下2つに大別出来る。
① 利用しているシステムの機器トラブル
② 光ファイバ伝送路のトラブル

利用しているシステム機器トラブルの場合、異常を検知している機器や、それに接続される配下の機器(レイヤ毎の機器)にて、それぞれが持っている管理機能(経路検索や試験フレーム送出、ループバック試験など)を使って、また、疑わしきハードウェアの交換などを経て、トラブル箇所を特定することが可能である。

一方、アクティブな光ファイバ伝送路にて何かしらのトラブルが発生した場合、そのトラブル要因の特定が非常に難しくなってくる。
光ファイバは、温度の変化や振動、融着点での漏水等により、その特性が微妙に変化する。
例えば、架空に張られた光ファイバの場合、風雨や積雪による曲げやクロージャへの漏水により、損失や反射特性が増加したり、天候回復により元通りに戻ったりすることも少なく無い。
新規敷設時の光ファイバであれば、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry,光パルス試験機)を使って、その特性を簡単に測定可能である。しかし、システムで利用開始されたアクティブな光ファイバでは、運用中のサービスを予備ルートへ切り替え、若しくはサービスを停止した上で、光ファイバの特性調査を行わなければならず、トラブル箇所の調査は容易では無い。

光通信システムへの適用

光ファイバの保守運用において使用する波長帯(4つの波長:1310nm / 1550nm / 1625nm / 1650nm)については、ITU-T L.41にて規定があり、4つのケースについて整理されている。アクティブな光ファイバ上でOTDRを使用する場合、下表のケース3や4にあるメンテナンス波長である、1625nmや1650nm帯の波長を使用すれば、通信利用の波長に影響を与えることなく測定出来る為、近年のWDMシステムに搭載されるケースが増えている。

Table 1/L.41 – Maintenance wavelength assignment
無題154
ITU-T Recommendation L.41より

OTDRの技術自体は、1980年代に開発されたものと言われ、測定器メーカが主に製品化して販売していた。近年では、通信機器メーカがその技術を自社の製品に取り込み、製品化しており、より広帯域のインフラ(10Gから100Gへ)導入が盛んになっている現在、インフラの更改に合わせ、OTDR機能を兼ね備えたシステムの検討が増えている。

OTDRの測定

OTDRの測定原理は、測定する光ファイバに光パルス(数ns程度)を入射し、測定中のファイバから戻ってくる後方散乱光との時間差から光ファイバの長さや損失、反射などの特性を求める。
光ファイバに入射する光パルスの幅を狭く(例えば10ns)すると、近端コネクタの接続点は精度高く識別出来るが、測定可能な距離が延びない。反対にパルス幅を広く(例えば1000ns)すると、測定可能な距離は延びるが、近端コネクタの接続点の識別が出来ない為、
測定する光ファイバの線路情報を予め把握しておいて、目的に応じて適切なパルス幅の設定が求められる。

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OTDRの利用シーン

OTDRは光ファイバの特性を調査する。通信インフラにOTDR機能が備わることで、アクティブな光ファイバ上でもリアルタイムに光ファイバを監視、記録として残すことができる。刻々と変動する光ファイバ品質のモニタリングが出来る技術と期待されており、以下の利用シーンが考えられる。

① 季節要因などにより伝送品質が安定しない時の光ファイバ特性調査
② 光ファイバの特性リアルタイム監視および保存履歴からの調査

これらの利用は伝送システム管理者にとって大いに役立つツールとなるだけでなく、保守・運用の観点でもコスト削減にも貢献できる。

まとめ

光通信の根幹を支える技術としてOTDRを紹介した。次世代へ向けた高速通信(400G、1T..)への実用化も進んでいるが、伝送路の品質無くして光通信は成り立たない。レガシー技術と先端技術のコラボによって、品質の高い通信インフラが提供されている事を覚えておきたい。

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