オフィスに固定電話はもういらない。ICTリソースの仮想とワークプレイスで、真の生産性向上を目指す。

ビジネス推進グループ
執行役員 篠浦文彦

企業の成長を促すワークスタイルの変革には、ICTリソースの仮想化とワークプレイスを同時に考えることが必要です。場所にしばられることなく、個人が高パフォーマンスを発揮できる環境の実現には、適切なICTの導入が不可欠になります。ネットワンシステムズでは、自らワークスタイルの変革を推進し、変化のプロセスとノウハウをお客様に提供するべく、全社レベルでの取り組みを始めています。

生産性向上のカギを握る3つのリソース

 昨今、ICT分野ではサーバー仮想化が大きな潮流になっています。これはサーバーリソースを仮想環境で運用することで、コスト削減を図るとともにICT活用の自由度を上げようという試みです。

しかし、本当の意味で業務を最適化しようとするなら、サーバーやストレージのみならず、ワークプレイス、つまり仕事の空間そのものを仮想化する発想が必要です。

 企業においては、ヒューマンリソース、ICTリソース、ワークプレイスリソースの3つの重要な“資産”を最大限に活用することに成長のカギが秘められています。どの会社でもヒューマンリソース、社員の成長、モチベーションアップやスピードアップがもたらす業務効率化や生産性の向上が多いに期待されています。しかしこれを実現する為には、ICTリソースとワークプレイスリソースを密接に連動させ、全体の仮想化をすることがカギとなります。残念ながらグローバル企業に比べて、日本企業の多くはこの点でまだまだ遅れを取っています。私たちは自らが率先して試し、実践することでお客様のリファレンスになろうと考えています。そして、我々が実際に得たノウハウをお客様に提供したい。それが企業の強みとなり、お客様への貢献なると思っています。

ネットワンシステムズにおける取り組み

 社員が外出先や出張先、自宅でもオフィスと同じように仕事ができて、働いた成果を出せる環境をつくるにはどうしたら良いか。ネットワンシステムズの推奨は、“レガシーな装置~電話・PC(箱)~を撤廃する”ことです。

 まず、電話がなくなると、音声通話もインスタントメッセージも社員の在席確認もミーティングもすべて仮想環境の中で行えることになります。ネットワンシステムズでは、在宅勤務中に会社にかかってきた個人宛ての電話は、外線も内線も携帯電話に転送される仕組みになっています。また、社員は自分の携帯電話からビデオ会議のアプリケーションを起動して、まるで電話をかけるように社員同士だけでなくお客様ともどこでもビデオ・コミュニケーションを取っています。だから当社の場合社員の名刺には、個人携帯の番号だけではなく、ビデオの番号も記載されています。

 次にPCも一考の余地があります。情報を扱うための端末は必要ですが、PCはハードディスクを有しているという点でリスクの高いハードウェアです。その点、VDI(Virtual Desktop Infrastructure、仮想デスクトップ端末)であれば情報が手元に残らないため情報漏えいの危険を低減することができます。

 

 仮想ワークプレイスのことを“結局はフリーアドレスと在宅勤務のことか”と思われる方も多いかもしれません。確かにこれらがベースとなってはいますが、重要なことは、社員それぞれのワークスタイルを鑑みて、別々にICT環境を導入することです。今まで多くの企業では、部門や社員によって働き方が大きく違うのに社内一斉に同じ環境を導入しようする傾向がありました。しかしこれでは、せっかくワークスタイル変革を謳ってもうまく機能しません。たとえば、人事部門や総務部門で行うのは主に定型的な業務です。このような働き方の場合は、扱う情報さえセキュアな環境でしっかり守られていれば、仕事はオフィスでなくても行うことができます。一方、営業部門の仕事は非定型的で、顧客の要望に合わせてさまざまな対応を行う必要があります。
 当社の営業部門では、タブレット端末やスマートフォンを活用することで、紙の資料削減と、提案活動の効率化を目指しています。また、プレゼンテーションはタブレット端末をモニターに接続して実施し、営業だけでは対応しきれない技術的な詳細説明が必要になった際は、タブレット端末からオフィスで待機しているエンジニアを呼び出してビデオ会議をし、技術支援をしてもらうというようなことを行っています。

 その他の取り組みとして、営業部門に在籍する社員の約半数を対象にフリーアドレス制度を導入しました。フリーアドレスを導入後、たいてい一定時間の経過とともに“なんとなく座席が決まって”きます。これに対しては、私物をこまめに撤去し、個人に合わせて調整された椅子の高さもリセットするなどして、フリーアドレスがきちんと機能するような仕掛けが必要かと思います。最初は導入における大きな障壁となる管理業務の増加に見えるかもしれませんが、“オフィスは社員全員で共有する空間なのだ”という意識が根づくまでの一時的なものです。意識さえ変われば、部門の壁を超えて風通しの良いコミュニケーションが生まれるようになるでしょう。

会社の成長が目に見える変化

 このワークスタイル変革に着手してからまだそれほど日は経っていませんが、早くも効果は現れています。当社では、大きく3つの観点から変化をとらえています。

 1つめは、業績向上につながる変化です。先ほどの例でいうと、今までは技術説明を含めて完成度の高い資料を作成しなければ提案活動に出向けないと身構えていた営業担当者が、いざとなったらエンジニアにつなげる安心感から、気軽に顧客を訪問するようになり、提案件数も増え、営業活動時間が増加しました。コミュニケーションが増えたことでお客様の満足度の向上につながっています。

 2つめは、コスト削減です。フリーアドレスでは全員分の座席を用意する必要がないので、物理的なオフィス空間を小さく見積もれることがわかりました。照明やオフィス機器が消費する電力も削減できます。これは今後の社内再編でもっと進めていけると確信しています。

 3つめは、リスク軽減です。全面的にVDIを導入することにより、機密情報の一切を集中管理でき、アクセスも社員の権限に応じて厳密に制御できるので、情報漏洩のリスクを大きく抑制することができます。

仮想ワークプレイスに落とし穴はないか

 このような仮想ワークプレイスを話題に出すと、必ずお客さまからご質問をいただくことがあります。

 たとえば「上司と部下、同僚と顔を合わせなくなっても、仕事が成り立つものなのか?」という質問。これには、労働生産性と集合労働の相関性は製造業を除くと認められない、という調査があります。同じ社屋にいるからといって、自然にコミュニケーションが活性化するわけではありません。重要なのはコミュニケーションの量。それはICTを活用することで十分確保できますし、今はSNS(Social Network Service)などの補完メディアもあります。対面の会議では、いつでも会えるわけではないという意識からコミュニケーションの質も向上します。

 また「結局、労働時間が長時間化してワークライフバランスが崩れる」という懸念もよく伺います。しかし、ワークライフバランスをどう取るかは、働く本人の裁量問題です。昼間に子どもの授業参観に行くかわりに、夜中に提案資料を作成してもいいと思います。日中は仕事で、夜はプライベートの時間といった画一的な労働概念から脱して、自分にとって最適なワークライフバランスをデザインできることが、仮想ワークプレイスの大きなメリットのひとつです。

 「そうはいうものの、会社の諸制度がついて来ていない」という声も聞こえてきます。これは、当社でも模索しているところです。これまでの勤怠管理をどうするのか。人事体系はどう変えるのか。現行の労働基準法を鑑みながら、いろいろ知恵を絞る必要があります。一例を挙げると、当社ではタイムカード記録は変わらず続けているものの、勤務評価としてストレートに反映はせず参考資料としての扱いにとどめています。

 仮想ワークプレイスを支えるのは、リソースを柔軟に管理出来、かつビジネスを継続出来る強固なインフラストラクチャーです。次回はその裏側のシステムについてご紹介します。

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