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Video over IP:Inter BEE 2021 IP PAVILION 参加レポート

目次

Inter BEE 2021 IP PAVILION に参加し、各社製品の相互接続および5G回線経由での中継の実証実験を行いました。
過去最大の30社/団体が協力し、「ST 2110ベースIP中継車」「ST 2110 X 5Gリモートプロダクション連携デモ」「5G 高精細・低遅延映像配信デモ」で、遠隔地からIPネットワーク回線経由で放送機材を操作し、ライブ番組を送出する今後を展望する最新手法を実体験できる展示となりました。
本記事では、弊社ネットワンシステムズが担当したIPネットワーク部分についてのご紹介と、オンラインリレーセミナーの概要をご紹介します。

2021 IP PAVILIONの概要

IPネットワークによる動作実証を目的として有志が集い相互接続検証などを実施してきましたが、今年はコロナ禍で需要が高まっている遠隔での番組制作(リモートプロダクション)をテーマに実施されました。

ST 2110ベースIP中継車とST 2110ベースのスタジオサブのネットワークを構成に加えて、5G網を介したリモートカメラとの高精細・低遅延な映像配信の連携の実動作環境を構築しました。弊社ではこの中のスタジオサブのネットワーク設計と構築を担当し、そこに接続されるマルチビューワ、スイッチャー、IPゲートウェイなどとの相互接続性確認と動作確認、中継車からの映像転送、5G網を介したリモートカメラの映像/操作信号の転送など、IPネットワークインフラとしてネットワークスイッチの設定と構築時の問題切り分けなどで支援いたしました。
私も会期中は説明員として立たせていただきました。多くの方がご来場され、このIP PAVILIONブースにも非常に多くの方がお立ち寄りくださいました。誠にありがとうございました。

オンラインリレーセミナーのネットワンシステムズ講演

「IPシステム構築における『ネットワークインテグレータ』の生かし方」と題しまして弊社 カスタマーサービス本部 コンサルティング部 榎戸真哉が講演いたしました。
こちらの内容を少しだけご紹介します。

インテグレータ会社は多くありますが、お客様の要望にあわせて、機器をメーカから調達し、設計、構築し、そのあとの保守、運用をサービスとして提供することを事業としています。弊社ネットワンシステムズはITシステムのインテグレータです。

放送設備のIP化においては、これまでの放送機器メーカや放送システムインテグレータに加えて、IT分野のインテグレータが必要とされてきております。IP化することにより、これまでの放送システムのインフラ設備の技術領域が、これまでに加えてITシステムの領域も必要となり、IT分野のインテグレータ無しでのシステム導入が難しいと言えるためです。

例えばライブプロダクションに求められるネットワーク要件として、大容量のイーサネットによるネットワークやルーティングの制御などがありますが、これらは基本的にはデータセンターを構築する際の手法が多く用いられることとなります。これはIP化のひとつのメリットである「既に使われている経験や技術」を転用することでのリスク、コスト低減にもなります。

例:複数のスタジオ/サブ ライブプロダクションシステム設計時に求められる要件

  • 10Gbps以上の高速イーサネットx数百ポート

  • 大容量のリアルタイムデータ転送

  • 輻輳、遅延にシビアな高品質な商用ネットワーク

  • 高い耐障害性:完全に二重化されたメディア面と独立した制御面

  • 広帯域のWANとルーティング制御:他拠点接続、クラウド

データセンターを構築するのと同じ!

ライブプロダクションでの冗長化されたメディア面と、管理/制御面を簡易的な図としたものがこちらです。放送システムのIP化では、全ての機器がこの3つのネットワークを持っていることになりこれをITの標準、SMPTE、AMWAなどの言う業界標準を組み合わせて構成していきます。
IP化すると接続すればすぐに繋がるというものではなく、自由度高く設計できる分どのように接続させるかをしっかり設計しておかなければなりません。通信制御の方法や障害範囲の最小限に留める構成、今後の拡張性などを見据えた設計が必要になりますので、ITインテグレータの経験で差が出る要素も多く含まれます。こういった点で我々ITインテグレータが支援できると考えております。

まとめ

Inter BEE 2021 IP PAVILIONに参加し、ITインテグレータとして弊社は多くの放送設備メーカ、放送システムインテグレータと協力させていただきました。放送システムのIP化には我々ITインテグレータの必要性を感じています。
放送設備はITインフラ化していくために全体の将来を見据え、設計する必要があります。そのためには運用環境の整備、体制・ルール作りなども含め刷新していく必要があります。その際には是非 “もしITのインテグレータが居なかったら?” を考えていただき、我々へご相談いただければと思います。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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