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Extreme Networks SLX-OS 20.2/3 アップデート ~DCファブリックをより便利に~

ライター:中村 喜之
キャンパス、キャリアネットワークおよびハイパーコンバージドインフラ製品の
提案および導入を支援する業務および製品の評価検証・拡販業務に従事。
現在はデータセンターネットワーク製品や製品検証の自動化に注力している。
2020年よりExtreme Networks Hero Engineerに認定

目次

はじめに

Extreme Networksがリリースするデータセンタースイッチ Extreme Routing/Switching SLXシリーズにおいてリリースされた最新OS (SLX-OS) 20.3系での新機能や変更点をピックアップしてご紹介します。今回はデータセンター、特にEVPN-VXLANを利用したファブリック環境の利便性向上が主な内容となっています。

Multi-homing with EVPN-VxLANへの対応

前回のBlogでは、Extreme独自であるMulti Chassis Trunk機能(2つのスイッチを連携させ、対向のクライアントスイッチに対してあたかも1台のスイッチから接続されているかのようにリンクアグリゲーションを提供する機能)について全面刷新および、機能拡張が行われたことをご紹介しました。

一方 EVPN-VXLAN側でもMulti-homingとして同様の構成が可能となる機能があり、今回のSLX-OS 20.3.2ではSLX9150/9250シリーズにてEVPNを利用したMulti-homingの構成が行えるようになりました。

社内検証においては、構成の柔軟さや切り替え速度の面においては従来のMCT機能が優れていると判断していますが、マルチベンダーによるファブリック構成において使用機能の統一を図りたい場合や場所によって対向となる装置をベンダー混在させたい場合、またLeafスイッチ間のpeer-interfaceを削減したい場合など、構成の多様化に有効な手段となりそうです。

Maintenance Modeにおける切り替え/切り戻しパターンの多様化

EVPN-VXLANを利用したファブリック化を各社推し進める一方で、新たな課題となっている点も表面化してきています。その一つが、メンテナンス時のトラフィック操作(迂回や切り戻し)です。特にOSアップグレードや機器交換などの際には、簡単かつパケットロス少なくトラフィックを迂回できるか、また確実にその作業を実施し状態を保持できるかという点が焦点となります。前回のリリースでは「Maintenance Mode」が導入され、BGPやMCTのトラフィック迂回作業が1コマンドで実施できるようになりました。

今回のリリースでは、各お客様のメンテナンス方式に合わせMaintenance Mode開始/終了パターンが拡充されました。一例として、enable-on-rebootオプションをご紹介します。このパラメーターをConfig内でセットした場合、即座ではなく手動または何らかの原因で再起動が行われた場合に起動時点からMaintenance Modeが有効となるオプションです。作業完了後にオペレーターが介入し、確認やタイミングを見計らってから切り戻しを行いたい場合やスクリプトなどで自動チェック等を実施してからネットワークに組み込みたい場合などに活用が可能な機能となります。

TPVM Upgrade/Config Persistanceによる内部仮想マシン連携

SLXシリーズの特徴的な機能として、スイッチ内部にてSLX-OS以外のOSを稼働させるTPVM(Thirdparty VM)機能が搭載されています。本機能は独自アプリケーション導入によるサービス拡充やEFAのスイッチ内への組み込みに活用されていますが、今回のバージョンアップでは、導入オペレーションの簡易化やIPアドレスやホスト名、パスワードなど仮想マシンの起動直後に必要となる基本的なパラメーターをスイッチ側のConfig(show run/config)として保持できるようになりました。

これにより仮想マシン内のみに状態が保存されていたパラメーターがスイッチ側にて一元管理できるようになるため、新規構築や機器交換作業の利便性が向上することが期待されます。

まとめ

今回はExtreme Routing/Switching SLXシリーズ OS 20.3系のエンハンスメントについてご紹介しました。
主に、データセンター系機能についての内容となりましたが、コア系向け機能のエンハンスメントも着々と進んでおり

  • BGP RPKI Prefix Origin Validation
  • Unified RoutingによるEVPN-VXLAN/MPLSの接続

の実装など、今後もExtremeのデータセンター/キャリア向け主力スイッチとしての進化が期待できる内容となっていると言えるでしょう。次回は大型Updateが予定されている、SLX-OS 20.4の動向やハードウェア製品についてお伝えする予定です。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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