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【NSX-VからNSX-Tへの移行】リフト&シフト : L2ブリッジ利用のケース

ライター:榎本 真弓
VMware社のクラウド周りの製品を担当しており、技術Updateや使い方など有益な情報をお届けできればと思っています。
・vExpert 2020-2024
・vExpert NSX 2021-2024

目次

ネットワーク仮想化基盤: NSX Data Center for vSphere から NSX-T Data Center へ

現在の企業のICTインフラを支える重要な基盤として、ネットワーク仮想化製品の VMware NSX® Data Center for vSphere® が存在しますが、ジェネラルサポート終了が2022年1月(テクニカル ガイダンス終了が2023年1月)となっており、後継の製品となるVMware NSX-T™ Data Center へのリプレースの必要性が増している状況です。

移行の種別 : NSX Data Center for vSphereからNSX-T Data Center

NSX Data Center for vSphere(以下 「NSX-V」) からNSX-T Data Center(以下 「NSX-T」)への移行について、方法は大きく2種類に分けられます。

  • インプレース型 : 同一ハードウエア内でのNSX-VからNSX-Tへの移行。移行方法としては手動での移行または、NSX-T付属のMigration Coordinatorツールによる自動移行があります。
  • リフト&シフト型 : NSX-V環境のハードウエアからNSX-T環境のハードウエアにワークロードを移行する方法。移行方法としては、NSX-VとNSX-T 個別のネットワークを利用した手動での移行または、NSX-V及びNSX-T環境をL2ブリッジやL2VPN、VMware HCX®︎で延伸した形での移行があります。 

前回、弊社ブログ記事にてインプレース型の移行についてMigration Coordinatorに関してご紹介しましたので、今回はリフト&シフト型の移行について、NSX-Tの持つL2ブリッジ機能を利用した形での、ワークロード仮想マシンの移行方法についてご紹介いたします。

リフト&シフト : L2ブリッジによる移行方法

NSX-VからNSX-T環境へのNSX-T L2ブリッジ機能を利用したリフト&シフトの移行の流れは、以下の通りです。

  • 移行の準備作業

・NSX-V環境のホストへのL2ブリッジ用のNSX-T Edgeの展開とNSX-V論理スイッチへの接続

・NSX-T Tier-0 & Tier-1のMACアドレスの変更

・NSX-Vの分散ファイアウォールのエキスポートバージョンを1000に変更

  • L2ブリッジによる移行作業

・L2ブリッジによるNSX-V、NSX-T環境の接続

・L2ブリッジの接続検証

・デフォルトゲートウェイのNSX-VからNSX-Tへの切り替え

・仮想マシンの移行(VMware vSphere vMotion®︎

この移行においてポイントとなるのが、NSX-VとNSX-T環境を接続するL2ブリッジ用のNSX-T Edgeを、NSX-Vホスト上に展開する点です。

検証構成図

主な準備作業と移行作業について、以下に説明いたします。

  • NSX-T Tier-0 & Tier-1のMACアドレスの変更: NSX-VとNSX-T のセグメントをL2接続する際に課題となるのが、NSX-VのデフォルトゲートウェイであるDLRと、NSX-TのデフォルトゲートウェイであるTier-0又はTier-1のインターフェースはともに同じMACアドレスを持ち、通信が正常に働かない点です。これはNSX-T において、以下のAPIより仮想分散ルーター(VDR)のグローバル MAC アドレスをデフォルト値から変更する事で対処します。

PUT https://{policy-manager}/policy/api/v1/infra/global-config

  • NSX-Vの分散ファイアウォールのエクスポート バージョンを1000に変更: NSX-Tへの移行前に、 NSX-Vホストの分散ファイアウォールのエクスポート バージョンを 1,000 に設定する必要があり、ホスト上で以下のコマンドで値を確認の上、必要に応じて変更します。

vsipioctl getexportversion -f nic-XXXXXXX-ethX-vmware-sfw.2

  • L2ブリッジ用のEdgeのデプロイ: L2ブリッジの接続用に、NSX-TにてVLANトランスポートゾーンを作成します。続いてNSX-T Edgeを、TEPインターフェース及びブリッジインターフェースにそれぞれ対応するアップリンクプロファイルを指定する形で展開します。展開後、Edgeインターフェースを以下の形で変更します。

  • L2ブリッジによるNSX-V及びNSX-T環境の接続: Edgeブリッジプロファイルを作成し、L2延伸用のセグメントに接続します。

  • デフォルトゲートウェイのNSX-VからNSX-Tへの切り替え: NSX-Vにおいて、ブリッジ対象の論理スイッチをDLRから切断し、NSX-Tにおいて該当のデフォルトゲートウェイアドレスをTier-0 又はTier-1 ダウンリンクに設定します。

  • 仮想マシンの移行(vSphere vMotion): 仮想マシンをNSX-V環境からNSX-T環境に、vSphere vMotionにて移行します。

まとめ

今回は、企業のICTインフラを支える重要な基盤であるネットワーク仮想化製品の NSX Data Center for vSphereのサポート終了に伴うNSX-T Data Center へのリプレースの方法として、リフト&シフト(L2ブリッジ利用)をご紹介いたしました。弊社では今後も、クラウド環境における最適なインフラ基盤をご提供させていただきます。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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