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コロナと充電保管庫(第二世代 充電保管庫):その1

ライター:阿部 豊彦
経歴:エンタープライズ系インフラの提案、設計、構築や、SDN提案、
工場IoTネットワークやセキュリティのコンサルなどを担当。
ファシリティ、インフラ、セキュリティなどボーダーレスです。
昨年末から文教フィールドへ参入。

目次

コロナと充電保管庫(第二世代 充電保管庫):その1

文部科学省のGIGAスクール構想もコロナ禍に影響を受け、一人一台の学習用端末の配布がより早急に進められようとしています。

そんな中で、学習環境の「STAY HOME化」、つまり遠隔授業の実施も試みられているようです。一人一台の学習用端末が与えられたあと、自宅や図書館へ端末を持って帰ることも想定できるようになってきました。また、無人となった学校から端末(PC)を奪っていく事件も発生することを危惧しています。

変化する日常の中で、充電保管庫に求められる役割も変わっていかざるを得ないと思いまとめてみました。

主なテーマ

その1

・在宅授業と充電保管庫の構造見直し

・資産としての学習用端末管理

・端末の盗難対策(抑止力)

その2

・LPWAとIoTセンサー

・充電保管庫とIoT教室

ないと困る充電保管庫

これから教室にWi-Fi(無線LAN)が整備されて、学習用端末が納品されていきます。端末を資産として保管管理して、毎朝充電済みで利用開始するためには、やはり充電保管庫が先に必要ですね。

家庭学習(遠隔授業)

全国公立学校では、「1213教育委員会(自治体)のうち5%60の教育委員会でしかオンライン授業が開始されていない」というアンケート結果が、緊急事態宣言が全国に適用される直前の令和2416日に文部科学省から発表されています。(https://www.mext.go.jp/content/20200421-mxt_kouhou01-000004520_4.pdf

その後「学びの保障」と言われる、「新型コロナウイルス感染症対策に伴う児童生徒の「学びの保障」総合対策パッケージ」文部科学省 令和265日(https://www.mext.go.jp/content/20200605-mxt_syoto01-000007688_1.pdf)では、「まずは家庭のパソコンやタブレット、スマートフォン等の活用、学校の端末の持ち帰りなど、あらゆる機器や環境を最大限活用」と記載されています。

家庭学習や遠隔授業を開始できる環境はこれから整備される状況といえます。

学習用端末の「持ち帰り」

光インターネット、携帯電波網、有料Wi-Fi網、組み合わせたテザリングなど様々な通信を使った、リアルタイム配信授業、アーカイブビデオ配信授業、NHK for Schoolや業者提供の授業などいろいろな在宅教育が考えられます。ここで重要なこととして、学校で使っている同じタイプの端末でないと学習アプリが使えないことがあります。学校での端末がApple iPadであればApple Storeに限定されたアプリでの学習となります。自宅端末がWindows端末では都合が悪いことがおこりえるわけです。(ブラウザベースのアプリであればよいのですが)。また学習に使える端末を自宅で用意できない場合もあります。そこで、学校の学習用端末を自宅へ持って帰ることになります。

持って帰るために、充電保管庫の構造見直し

学習用端末を学校から持ち帰ることを想定すると、自宅や図書館などで充電して翌日の授業にのぞまないといけません。したがって、充電に必要な「電源アダプタ」を持ち帰ることになります。(余裕のある家庭では対応アダプタを購入すればいいわけですが)

このため、充電保管庫は端末だけでなく「電源アダプタ」も出し入れ容易でなければならないはずです。電源ケーブルが絡まらないように電源タップ(コンセント)へのアクセス、ケーブルガイド、電源タップ自体の(半)固定化などの配線サポートの構造なども再検討すべきと考えます。

   

構造の一例として

電源アダプタの大きさが製品によりまちまちという理由で、まとまった空間を提供するスタイルが従来の「電源アダプタ収容空間」でした。これからは、ある程度の大きさにあたりをつけて空間を小分けすることで、ケーブルの絡まりを解決する必要があります。

また、電源アダプタを出し入れするために、開口部を大きくしたり、上段は天板を半分くらい開けて上部からアクセス可能としたり、下段(中段)は引き出し状としてよりアクセスしやすくする工夫が考えられます。

   

学習用端末の資産管理

端末を管理すべき資産と考えると、今どこにあるのか?持ち出されたのか?しっかり管理しなければなりません。保管庫の中の「着座センサー」や「端末の位置情報」を使うことで、端末資産の校外への持ち出しや、持ち帰りを自動判別できる可能性があります。

(本来は厳格な持ち出し資産管理が必要ですが、簡略化自動化する必要もありそうです。)

端末にMDM(モバイルデバイス管理:Mobile Device Management)機能をインストールすることによって、端末の識別管理や利用制限ができるようになります。弊社の取り扱い製品であるVMware Workspace ONE (旧AirWatch) やCisco DUO SecurityMobileIronMicrosoft Intuneなど多くの製品が提供されています。

事前設定された条件以外での端末の利用を制限したり、校内Wi-Fiの圏外、つまり持ち帰りするとやや厳しい利用制限を行えるものもあます。また、端末を万一紛失してしまった場合は、リモートロックやリモートワイプ(データ消去)を遠隔実行できます。最近ではセキュリティ機能も統合されて、ウィルス対策やSSO(シングルサインオン)などの機能も搭載している製品があります。

  

    

ただし、MDMのようなしくみでモバイルデバイス管理ができるのは、端末の電源がONである必要があります。

端末の電源がOFF時の位置を知ることができれば、校外へ持ち出したのか、充電保管庫に収容されているのか、はたまた盗難中なのかわかることになります。

   

端末の盗難対策(抑止力) ・・若干妄想編へ

一人一台の学習用端末が整うと、保管される学校資産は莫大な金額となります。警備会社への委託や監視防犯カメラの設置も検討されることになると考えます。

生徒の通学中の安全を見守る「GPS発信機」というものがあります。歩行状態を加速度センサーで検知し、歩行中は、GPSGlobal Positioning System)位置データを取得して、定期的に発信する見守り用発信機です。このGPS発信機は充電する時以外は、すぐには見つかりにくいようにランドセルの奥にしまっておきます。もともとは、移動資産追跡管理に使うソリューションです。

   

学習用端末にも「GPS発信機」をとりつけたいところですが、大きすぎます。また、電源OFF時であっても自位置を発信しなければ、盗難、紛失などに対応できません。従い、端末自体が持つWi-Fi、携帯電波網などの従来の通信システムでは対応できません。独立したGPS発信機が必要となります。

端末から位置情報発信に使う電波はどこでも偏在なく使えることが条件となりますので、携帯電波網かLPWA網でのサービスとなりそうです。

さて、どうするか?

「コロナと充電保管庫(第二世代 充電保管庫):その2」 へつづく

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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