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コロナに負けるな!全天球360度映像のVRワークプレースを活用したリモートミーティングの実際

ライター:門脇 広平
2001年にネットワンシステムズ入社後、パブリック/エンタープライズ/通信事業者の営業を担当
2015年からはネットワンパートナーズにて新規IoT市場開拓のためマーケティングを担当
2018年4月より、現職であるNet One Systems USA,Inc.に勤務
米国シリコンバレーに駐在し、主に5GやVR/ARなどのユースケース調査やスタートアップ開拓業務を行っている
息子(3歳)も一緒に渡米しており、海外での子育てにも奮闘中。趣味は、ランニング、旅行、ゴルフ、ダンスなど

目次

日本では新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が解除され、徐々に日常が戻りつつある一方、第2波を警戒し、多くの企業でリモートワークや輪番での出社といった状況が続いているかと思います。私の勤務するNetOneSystemsUSA(※ネットワングループの一社で、米国シリコンバレーにてトレンド調査やスタートアップ発掘を推進。以下、NOS-USAと記載)のオフィスがあるカリフォルニア州でも段階的に経済を再開させる動きとともに、With/Afterコロナの時代における働き方の模索が続いています。

Twitter社は希望する社員には永久に自宅勤務とし、Facebook社やGoogle社は在宅勤務を2020年末まで許可すると通知しています。ネットワングループでも2014年からテレワーク制度の導入を行い、すでに6年が経過しています。従業員の多様な働き方をサポートする環境が浸透していますが、さらにこの流れが加速していくのではと感じています。

注目されるVirtual Reality

ここ数年でテクノロジは様々な進化を遂げています。ワークプレースに対しても物理的な空間から仮想的な空間へと仮想化の波が到達しつつあります。その一つの実現手法として、Virtual Reality(以下、VR) が挙げられます。VR技術はゲームなどでよく活用されていますが、次のユースケースの創出が望まれていました。近年、技術の進化と比較的安価なデバイスの登場、そしてコロナの影響もあり、ワークプレースとしての活用に注目が集まっています。

そこで、私たちは実際に全天球360度映像のVR仮想空間におけるミーティングとコミュニケーションが、どこまで実用性があるのか試してみました。今回はVRヘッドセットと vSpatialというVRワークプレースサービスを活用しました。

VRミーティング事前準備

VRヘッドセットを準備します。様々なデバイスが登場していますが、今回はOculus Questを使用しました。まだ若干高価な印象もありますが、数年前のVRヘッドセット登場時と比較するとPC接続不要の一体型ですし、動作をフィードバックできるコンソールも用意されておりデバイス自体の進化も行なわれています。セットアップは1020分程で終わるのですぐにスタートできます。

<Oculus QuestとNetOneSystemsUSAでの利用イメージ>

                                                 

仮想的なワークプレースを実現するサービスは vSpatial を使用しました。米国企業のサービスになり"The Workplace of the Future"をビジョンとし、従来の考え方に縛られない新しいワークプレースを提供する企業となります。vSpatialはまだ正式リリースされていませんが、Early Access Programに申し込みを実施。特別にアカウントを払い出して頂きました

<vSpatialのVRワークプレース>

VRミーティング実施内容

ここからはvSpatialを使用している環境での体感レポートです。4名で同一のVRワークプレースに参加し、1名がプレゼンテーションを行います。そして全員でディスカッションを行います。NOS-USA2名は米国シリコンバレーから、残りの2名は東京からの参加です。イメージは以下のようになります。

<vSpatialのVRワークプレースへ複数人で参加した場合のイメージ>

全天球360度映像の広々とした空間が眼前に広がり、自身以外のアバターが目の前に表示されます。接続も容易で、登録したアカウントにコンタクトするのみです。これで会議室の上座も下座も意識しなくて良い空間でミーティングができ、テレワーク特有の素敵な私服の準備も必要ありません。

米国と日本間のミーティングで物理的に距離が離れていますが、遅延による影響は見られず、音声のクオリティもWeb会議と変わらず問題ありません。また、Web会議では会話の間や一度に話さないよう順番に話すような形を意識してしまいますが、vSpatialの場合相手のアバターと視線が合いますし、アバターが話者の表情を表現します。そのため、物理的に実際話している感覚に近く、複数人でも自然なコミュニケーションを実現できます。これはVRによる没入感が実現する、これまでのWeb会議とは異なる感覚でした。

では資料を表示してみます。現段階のベータバージョンではPCにモジュール(vSpatial Remote Manager)をインストールすることにより、PC上のデータをVR空間と連携させ、対象の資料を共有することができます。共有された資料は手もとに引き寄せて拡大することができますので、イメージとしてはExcelPower Point資料を200インチ以上の巨大ディスプレイで表示している状態にする事ができます。

<vSpatialのVRワークプレース上での資料共有イメージ>

視力が悪くても、老眼に悩まされていても、十分に内容が見えるレベルです。また、全天球の360度空間を活用できるため、複数のプレゼンターの資料を目の前で同時に表示しながら議論を行うことも可能になります。

実体験から見えてきた、VRが向いているワークと不向きなワーク

現時点ではVR空間での資料作成等のワークには向いていないイメージはありますが、プレゼン等の発信には非常に効果的だと感じます。vSpatialは今後、VR空間内に会場を設けて大人数でセミナーを行う仕組みや、複数人でより深いディスカッションを行うためVR内でのホワイトボード機能や3Dオブジェクト投影機能等も開発予定との事ですので、物理的なイベント会場が不要となる時期もそれほど遠くないかもしれません。少なくとも、現段階で少人数でのミーティングやプレゼンテーションには十分使用できると思います。また、VR空間内のアバターは自分で自由にデザインすることができVR空間の背景も海や山、宇宙など自由に切り替えることが可能です。

このような通常のオフィスや会議室以外のVR空間という全く新しい空間に身を置くと、これまでとは違う発想が広がり意見交換も活発にできるという新しい発見もありました。

今後に向けて

VR特有の一般的な課題としては、周りから怪しい目で見られ、狭い空間だと机に足をぶつけ、頭は若干重いという問題も残っています。ただ、周りを気にしない精神力と鍛え上げた首の筋肉と、常日頃部屋を片付けておけば、全く問題ありません。今後の課題としては、VRヘッドセットにアカウントが紐づいているため、他人のVRヘッドセットを入手できてしまうと他の人間がなりすましできるという点があると思います。常にコミュニケーションしているアバターが、実は異なる人間となっているという事も発生する可能性があります。VR空間の利用が浸透してくるとVRセキュリティも重要視されると感じます。

VRデバイスのより一層の低価格化とコンテンツの更なる充実により、物理的なワークプレースを意識しないWith/Afterコロナの新しい働き方をシリコンバレーで引き続き実践し、皆様にお届けしていきたいと思います。

NOS-USA Kevin門脇

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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