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NFV動向: NFVとOpenStack①

匠コラム
ネットワーク
仮想化

ビジネス推進本部 応用技術部
コアネットワークチーム
砂田 晃徳

年々関心の高まっているNFV(Network Function Virtualization)ですが、最近では商用環境への導入という話題も耳にするようになってきました。NFVの構成要素であるNFVIやNFV MANOのVIMでは、以前からOpenStackが活用されてきましたが、NFV領域の新しいプロジェクト「OpenStack Tacker」(以降Tacker)が登場しました。
本稿では、NFV MANOの一部の機能を実現するTackerについて取り上げます。

連載インデックス

ETSI NFVアーキテクチャーのおさらい

様々なところで説明されていますのでご存知の方も多いと思いますが、本稿の中でNFV関連の用語を多数使用しますので、簡単にETSI(European Telecommunications Standards Institute) NFVのアーキテクチャーと用語のおさらいをしておきます。

ETSI NFVのアーキテクチャーは、VNF、NFVI、MANOという3つの領域に分かれています。

図1 ETSI NFV ハイレベルフレームワーク

VNF(Virtual Network Function)は、「ソフトウェアで実装されたネットワーク機能」であり、仮想マシンとして動作するネットワーク機器を表します。

NFVI(NFV Infrastructure)は、VNFを実行するための物理リソースと仮想化機能です。NFVIには、IAサーバーやストレージ等のハードウェアリソースと、仮想化のためのハイパーバイザーが含まれます。

NFV MANO(Management and Orchestration)は、ハードウェアリソース、ソフトウェアリソース、VNFの管理機能とオーケストレーション機能を提供します。MANOは、自動化の中心的な役割を担う「NFVO(NFV Orchestrator)」、VNFの管理を行う「VNFM(VNF Manager)」、NFVIの制御を行う「VIM(Virtualized Infrastructure Manager)」で構成されます。

OpenStack Tacker

TackerはNFV MANOの中の「VNF Manager」と「NFV Orchestrator」にフォーカスしたOpenStackプロジェクトで、VNFの管理機能やネットワークサービスオーケストレーション機能を担います。
Tackerが提供を行う代表的な機能には、以下の様なものが挙げられています。(実装予定の機能も含む)

NFV Catalog

  • VNF,ネットワークサービス,VNF Forwarding Graphのカタログ化

VNF Manager

  • VNFライフサイクルマネージメント(作成 / 更新 / 削除)
  • VNFのヘルスモニタリング
  • ポリシーに基づいたVNFのAuto Healing / Auto Scaling
  • VNFの初期設定の円滑化

NFV Orchestrator

  • 複数インスタンスで構成されるVNFのテンプレート化
  • VNFの配置ポリシー機能の提供
  • サービスチェイニング
  • マルチVIM,マルチSiteに跨るVNFオーケストレーション

また、Tackerのアーキテクチャーは以下のようになっています。

図2 Tacker Architecture</p >

OpenStackダッシュボード(Horizon)やCLI等からAPIを経由してオペレーションを行います。カタログ化されたネットワークサービスやVNF、Forwarding Graphを基に、NFVO, VNFMが制御を行い、インフラドライバーを経由してVNFやそれに関連するネットワークがVIMに展開されます。

OpenStack Tackerの動作

簡単な確認ではありますが、実際にTackerを動かしてみました。
Tacker環境を構築するとOpenStackのダッシュボードに「NFV」という項目が追加され、更にその配下に「VNF Management」と「NFV Orchestration」という項目が現れます。(図3 Tackerのダッシュボード画面を参照)
Tackerでは、VNF、VNFM、VIM等のNFVアーキテクチャーで使用されている名称が使われており、改めてNFVを意識したコンポーネントであるということが伺えます。

図3 Tackerのダッシュボード画面

まず初めにVNFを動作させるVIMを登録し、次にVNF用のTOSCAテンプレートを作成してVNF Catalogに登録します。
VNF CatalogとVIM指定してVNFをデプロイすると、OpenStack Heatと連携してVNFが作成されます。

図4 VNF作成時のネットワークトポロジー

確認時の実装ではVNF Manager機能が中心でNFV Orchestration機能についてはこれから更に実装が進んでいくという段階でしたが、複数インスタンスで構成されるVNFのテンプレート化や、インスタンスからの自発パケットのみではなく通過するパケットも取り扱う必要がある等のNFVならではのポイントもちゃんと考慮されているという印象でした。

オープンソース MANO

今回取り上げたOpenStack以外にも、オープンソースソフトウェアでNFV MANOを実現するという取り組みが見られるようになってきています。
以下に代表的なものを幾つか紹介します。

Open Source MANO(OSM)
ETSIが手動する、NFV MANOのソフトウェアスタックの開発を目的としたプロジェクトです。
2016年3月にTelefonica OpenMANO,RIFT.io RIFT.ware, Canonical Jujuを組み合わせたRelease 0 code packageを公開しています。

Open Orchestrator Project(OPEN-O)
Linux Foundationが手動するプロジェクトで、2016年から活動を開始しています。
活動が開始されてから間もないため情報は多くありませんが、OPNFVやOpenStack等の他のオープンソースソフトウェアとの連携も意識されているため今後の活動が期待されます。

まとめ

NFVの構成要素の中では他のコンポーネントと比べて実装が難しい感があるNFV MANOですが、NFVでの利用が期待されるOpenStackからその部分にフォーカスしたTackerが登場したことで、NFVが少し身近なものになってきたという印象を持ちました。
今後Tackerの開発が進むことで、OpenStackがNFV MANOの選択肢の一つとなることが期待されます。

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執筆者プロフィール

砂田 晃徳

ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 応用技術部 コアネットワークチーム
所属。
ネットワンシステムズに新卒入社し、エンジニアとしてパートナー/エンタープライズ/サービスプロバイダー顧客を担当する。
現在は現部署に異動し、モバイル関連、SDN/NFV関連を中心にフロント部門への技術支援に従事。

  • CCIE RS

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