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Segment Routing入門② ~MPLSデータプレーンへの適用~

匠コラム
ネットワーク

ビジネス推進本部 応用技術部
コアネットワークチーム
高田 聡士

前回は1回目という事でまずはSegment Routing自体がどの様なモノなのかについて説明をしました。皆様にはSegment Routingというモノをおぼろげながら把握いただけたのではないかと考えております。
今回はより鮮明に把握いただくためにSegment Routing使用の具体例としてMPLSへの適用について説明していきます。

連載インデックス

想定されている適用先

Segment Routingはその適用先として『MPLSデータプレーン』と『IPv6アーキテクチャ』という2つが想定されています。
IPv6アーキテクチャへの適用の詳細については本コラムでは割愛させていただきますが簡単に説明するとSegment Routingは新しいタイプのルーティングヘッダとなり、SegmentはIPv6アドレスとして変換されます。
もう1つのMPLSデータプレーンへの適用についてはMPLSコントロールプレーンの内容も含め以降で詳細を説明していきます。

MPLSの基本動作

最初にMPLSの基本動作について改めて確認しておきましょう。
MPLSはコントロールプレーンとデータプレーンという2つの層を持っており、それぞれ次の様な動作を行います。

<コントロールプレーン>

  • prefix情報をlabel情報としてMPLS網内へ伝搬
  • 伝搬されたlabel情報からLSP(Label Switched Path)を確立し、LIB(Label Information Base)を作成
コントロールプレーンのプロトコル依存関係

<データプレーン>

LIBに従いLSPに沿ってパケットを転送

  • MPLS網へ入る際のラベル付与(PUSH)
  • MPLS網内でのパケット転送を行うためのラベル交換(SWAP)
  • MPLS網から出る際のラベル除去(POP)
LSPの確立とパケット転送

Segment Routingの適用

続いてMPLSにSegment Routingを適用した場合にこの基本動作をどの様にして満たすのかについて見ていきましょう。

<コントロールプレーン>
Segment Routingを適用した場合もコントロールプレーンが果たす役割は変わりません。
しかしながらlabel情報の伝搬に使用するプロトコルがLDPやRSVP-TEの様なSignaling Protocolから機能拡張されたIGP(OSPF/ISIS)に代わります。

コントロールプレーンのプロトコル依存関係

<データプレーン>
前回少し触れた通りSegment Routingはフォワーディングプレーンに変更を加える事無くMPLSデータプレーンに直接適用させることができます。これはMPLSで使用するlabelや先に確認した転送に必要な各種作業をSegment Routingの持つ機能でそのまま置き換えることが出来るためです。
具体的には下記の様に置き換えられます。

Segment Routing機能の置き換え

既存MPLSとの差分

先に説明した通り、データプレーンについてはSegment Routingを適用しても既存のMPLSと比べて特に差分は発生しません。
しかしながらコントロールプレーンでの使用プロトコルの違いやSegment Routing自身の特徴により幾つか既存MPLSとの差分が発生します。

  • Network内のStateの大幅な減少
    Segment Routingではlabel情報の伝搬にもIGP(OSPF/ISIS)を使用します。IGPはSignaling ProtocolではないためSignaling ProtocolであるLDPやRSVP-TEを使用する既存のMPLSに比べてNetwork内のStateは大幅に減少します。

  • ノードを示すPrefixに対するlabelの割り当て
    Segment Routingではノードを示すNode SegmentはGlobal SegmentであるためSR domain内でユニークです。そのためSegment RoutingをMPLSに適用するとノードを示すPrefixのlabelが既存での"ノード内でユニーク"から"Network内でユニーク"へと変わります。

  • label stackの実施機会やlabel stack数の増加
    Segment RoutingはSource Routingであるため送信元あるいはIngress LSR以外のノードではlabelの付与(PUSH)や別labelへの付け替え(SWAP)は行われません。行われるのはlabelの取り外し(POP)だけです(厳密には同じlabelへの付け替え(SWAP)は行われています)。
    そのためTraffic Engineeringを実施する際には送信元あるいはIngress LSRにてlabel stackが行われます。また経路制御が複雑になるとその分label stack数が増えていきます。

まとめ

今回はSegment RoutingはMPLSにどの様に適用されるのか、また適用した際に既存のLDP/RSVP-TEを使用している場合と何がかわるのかについて説明しましたがいかがでしたでしょうか。Segment Routingについて少しでも理解が進んだのなら幸いです。
次回は最終回ということでSegment Routingの現状と将来について考えてみたいと思います。

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執筆者プロフィール

高田 聡士

ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 応用技術部 コアネットワークチーム
所属
SP事業会社のコアネットワークにNIerとして7年弱携わる
当時の主な担当製品はCisco社のCRSシリーズ
4年ほど前に現部署に異動し、Cisco社含めたハイエンドルータ製品を担当
現在はSP-SDN分野に注力中

  • 情報処理「ネットワークスペシャリスト」
  • CCIE RS #50857

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