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  1. ナレッジセンター
  2. 匠コラム

スマートデバイスでのVoIPの難しさ 2.集中制御型無線LANシステムでのQoS設計の難しさ

匠コラム
ネットワーク

ビジネス推進本部 応用技術部
エンタープライズSDNチーム
田中 政満

第2回では、実際の集中制御型無線LANシステムを利用する上で、どのようにQoSが相互作用しているかを、Cisco社のWLCシリーズを例に解説したいと思います。

連載インデックス

1.はじめに

第2回では、第1回で解説した有線LAN、無線LAN、レイヤ3以上のそれぞれのQoSの機能が実際の集中制御型無線LANシステムを利用する上で、どのように相互作用しているかを、Cisco社のWLCシリーズを例に解説したいと思います。

今回の解説では意図的にデバイスを限定せず、「トラフィックに付加されているQoS値」に着目して解説を行います。

2.集中制御型無線LANシステムのQoS設計の難しさ

2.1トラフィックフローにおける分類
集中制御型無線LANシステムには、大別して2つのトラフィックフローのパターンが有ります。トラフィックフローによりそれぞれ考慮するポイントが異なりますので、それぞれのパターンにおける注意点を解説します。また、集中制御型無線LANシステムによっては、以下の2つのパターンを任意で切り替えられるものが存在し、柔軟な設計にできるような機能を備えているものがあります。

2.2センター集中型トラフィックフローでのQoS設計
すべてのトラフィックがセンターに設置されている無線コントローラを経由する通信方式です。Cisco社のCisco WLCシリーズでは「Local」モードに相当する通信方式です。無線LANクライアントのトラフィックは無線LANアクセスポイントから無線LANコントローラまでの間カプセリングされ伝送されます。(Cisco WLCの場合はCAPWAPというプロトコルでカプセル化されます)

複数のSSIDをサービスしている場合においても、APの通信先は無線コントローラのみとなることから、APはアクセスポートにて有線ネットワークに接続されるのが一般的です。アクセスポートということは即ちCoS(802.1p)方式のQoSフィールドが利用できないということを意味しており、Cisco社のWLCの場合、CAPWAPパケットのDSCPフィールドを利用したQoSの方式を取ります。このCAPWAPのDSCPフィールドの値は、クライアントからの無線LANフレームの「802.11eの値」によって一意に決定され、無線クライアントから送出しているフレームのDSCP値によらない点がポイントです。

また、コントローラまで到着したCAPWAPパケットは、そのカプセル化を解かれ、初めて有線LAN」に送出されますが、その際にWLCではCAPWAPの値によって一意に決まる802.1pの値を付与し、有線LANへ送出します。これにより、無線LANクライアントから送出されたフレームが、最終的に有線LANへQoSの値を持った状態で送出されることとなります。有線LAN側から受け取ったパケットについても、似たような手順を経て無線LANクライアントへ届けられることになります。
この一連の流れを示したものを以下の図に示します。

figure1
図1.センター集中型トラフィックフローでのQoS値の載せ替えの流れ

2.3.エッジ分散型トラフィックフローでのQoS設計
無線LANクライアントのトラフィックが無線コントローラを経由せず、全てAPから直接有線LANへ直接送出される方式となります。Cisco社のWLCでは「FlexConnect LocalSwitching」と呼ばれる方式です。センター集中型と違い、無線LANクライアントのトラフィックはカプセル化されず、APを収容しているエッジスイッチにそのまま転送されます。
エッジ分散型トラフィックフローでは、無線LANアクセスポイント自身が複数のSSIDを収容し、複数のVLANへ送出する必要があることから、802.1Qトランクリンクとなり、802.1pの値が付与され、有線LANへ送出されます。この802.1pの値は、センター集中型トラフィックフローと同様、無線LANフレームの「802.11eの値」によって一意に決定されます。

figure2
図2.エッジ分散型トラフィックフローでのQoS値の載せ替えの流れ

3.集中制御型無線LANシステムを利用する上でのQoSの注意点

これまでの内容より、集中制御型無線LANシステムを利用する際には、複数のポイントでのQoS値の付与、およびNWの伝送媒体が変わる場所での「変換」が行われるという点が、有線LANのみのQoSとは大きく異る点となります。集中制御型無線LANシステムでのトラフィックフローは以下の6箇所(センター集中型トラフィックフロー)/4箇所(エッジ分散型トラフィックフロー)の全てを考慮する必要があるため注意が必要です。全てのパターンを以下に示します。

●センター集中型トラフィックフロー

  • (アップリンク)無線CL→AP
  • (アップリンク)AP→WLC
  • (アップリンク)WLC→有線LAN
  • (ダウンリンク)有線LAN→WLC
  • (ダウンリンク)WLC→AP
  • (ダウンリンク)AP→無線CL

●エッジ分散型トラフィックフロー

  • (アップリンク)無線CL→AP
  • (アップリンク)AP→有線LAN
  • (ダウンリンク)有線LAN→AP
  • (ダウンリンク)AP→無線CL

まとめ

有線LANでのQoS、無線LANでのQoS、レイヤ3でのQoSとそれぞれの要素技術は単純ですが、それらを集中制御型無線LANのアーキテクチャに当てはめると、途端に複雑になります。集中制御無線LANシステムを利用し、QoSをうまく実現するためには「それぞれのQoSの値変換」および「トラフィックがどの方向からどの方向に流れているか」をしっかりと把握しながら設計することで、対処が可能です。

次回はスマートデバイスが抱える根本的な問題、およびスマートデバイスのQoS設計には、どのような要素が絡んでいるかを解説します。

執筆者プロフィール

田中 政満
ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部
応用技術部 エンタープライズSDNチーム
所属

入社以来無線LANの製品担当SEとして製品や技術の調査、検証評価、及び、提案や導入を支援する業務に従事。
現在はキャンパスセキュリティや自動化に力を入れるなど、エンタープライズSDNのエンジニアとして邁進中。

  • 第1回 シスコ テクノロジー論文コンテスト 最優秀賞

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