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第2回 なぜデータセンタースイッチでないといけないのか? ~支えます!サーバ、ストレージ~

匠コラム
ネットワーク
データセンター

ビジネス推進本部 応用技術部 エンタープライズSDNチーム
鈴木 俊吾、SUHARTONO RYOSUNATA

ビジネス推進本部 応用技術部 クラウドデータセンターチーム
杉 亜希子

市場開発本部 ソリューション・サービス企画室 第1チーム
東 竜一

クラウド利用の普及に伴い、データセンターの新設、拡張が進んできています。
クラウド基盤となるデータセンターネットワークでは、これまでの企業ネットワークのようなトポロジーや機能、性能では要件を満たすことが難しくなってきています。
クラウドサービスを提供する事業者では、データセンター向けスイッチ(以降DCスイッチ)の導入により大規模なデータセンターを構築しています。一方で、プライベートクラウドを検討されている企業では、これまでの企業ネットワークと同様な観点で機器選定しているケースが少なくありません。
そのため、本コラムでは全4回でDCスイッチの必要性、スイッチの選定ポイント、さらにデータセンターで求められるテクノロジーを含め解説します。

連載インデックス

本文

第1回の稿ではデータセンターネットワークが変化した要因について述べました。続いて本稿ではこれらの変化に対応したDCスイッチの特徴であるMACアドレステーブルサイズ、レイテンシ、バッファサイズについて説明します。また、企業ネットワーク向けスイッチとの違いについて説明します。

【MACアドレステーブルサイズ】
近年、データセンターネットワークではトラフィック量増加の傾向があります。今まで、各スイッチのポートに1台のサーバが収容されていたのが、サーバ仮想化により各ポートに数台から数十台のサーバが収容されるようになりました。そのため、各ポートの通信量は増加し、必要とされる通信速度が上がります。これに対応するためDCスイッチでは10GbEや40GbEといったポートを多数搭載しています。
また、もう一つ大きな特徴があります。スイッチで収容できるサーバ数が増加するということはMACアドレスの数も増えることになります。つまり、データセンターネットワークではMACアドレスの増加に対応できる大きなMACアドレステーブルを搭載しているスイッチが求められます。一方、データセンターネットワークにおいてのルーティングテーブルについてはこれまでと同様のサイズで十分とみられ、拡張させる必要がないためMACアドレステーブルサイズと比較して小さく設計されている傾向があります。

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図1:サーバ仮想化によるMACアドレスの増加の図

【レイテンシ】
最近のデータセンターネットワークではアプリケーションが提供するサービスの要求により低遅延が求められるようになりました。たとえば、決済などの金融・証券システムや電車・航空システム、オンラインゲーム等の時刻同期要件が厳しいサービスがあげられます。
対応策として低遅延なネットワーク機器が必要になります。DCスイッチでは低遅延を実現するための一つとして、パケット転送方式にcut-throughを採用していることが多いです。
従来の企業ネットワーク向けスイッチで採用されているパケット転送方式はStore & Forward が一般的でした。Store & Forwardは一つのパケット全体を受信後エラーチェックしてから転送する方式です。Cut Through の場合は、パケット全体を受信する前に送信先アドレスを参照した段階で直ちに転送し始める方式です。そのため、Store & Forwardに比べ、レイテンシが低減できるため、上記にあげたようなサービス要件に適した実装となっています。

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図2:パケット転送方式の図

【バッファサイズ】
どのような環境においてもパケットドロップの発生は望ましくありません。特にデータセンターのようなサーバ密度の高い環境、たとえばBigDataなどを扱うクラスタサーバの環境ではバーストトラフィックの発生などがパケットドロップ発生の要因になります。こういった環境でバーストトラフィックを止めることはできませんので、スイッチ側で一時的にパケットを溜めておくバッファが必要になります。そのためDCスイッチではバッファ容量が大きく確保されています。
注意点として、バッファに留まるパケットが多くなるほどレイテンシが大きくなります。そのため、バッファ容量を大きく持っていれば良いわけではないといえます。たとえば、コアスイッチではドロップさせないように深いバッファ容量を持った機器を設置し、アクセススイッチではレイテンシを考慮して過度にバッファ容量の大きくない機器を設置するというデザインが考えられます。
データセンターネットワークでのバッファ容量を考慮しなければならない一つのデザインとしてFCoE環境(ストレージ通信FCがイーサネット上で通信できる)があげられる。ストレージ通信は通常のIP通信と異なり、パケットドロップが許容されません。そのため、通常のイーサネットよりも大きなバッファ容量が要求されます。

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図3:バッファが必要になる例の図

【企業ネットワーク向けスイッチとDCスイッチ】
企業ネットワークは主に『人』がコンピュータなどのデバイスを接続し利用します。そのために企業ネットワーク向けスイッチは人とその関連機器に対して必要な機能や性能が実装されています。
例えば、企業ネットワークでは柔軟に且つセキュアに人や機器を認証することが必要になります。そのため企業ネットワーク向けスイッチは802.1X認証だけでなくWeb認証が利用できます。対して、DCスイッチでも802.1X認証を利用できる機種がありサーバの認証などで利用されますが、Web認証を実装しているものは現在ありません。
また、IP PhoneやAPなどに対して電源ケーブルなしでLANケーブルを通じて給電するPoE(Power over Ethernet)や、音声や映像を優先的に転送するためのVoice VLANと呼ばれる機能は企業ネットワーク向けスイッチ特有の機能です。
上記のように企業ネットワーク向けスイッチにしか出来ない機能や性能要件も少なからずあります。また今後新しい機能も企業ネットワークあるいはデータセンターネットワーク向けにそれぞれ実装されていきます。そのため、DCスイッチよりも企業ネットワーク向けスイッチの方が安価であったとしてもデータセンターネットワークに適さない場合があるので適材適所で機器を選定することを推奨します。

まとめ

本稿ではMACアドレステーブル、レイテンシ、バッファ、企業ネットワーク向けスイッチとの違いを例にDCスイッチの特長を紹介しました。
仮想サーバの増加によるスイッチで収容するMACアドレス数の増加、アプリケーションの要件による低レイテンシ処理、パケットドロップの抑制などがデータセンターネットワークにおけるスイッチに求められています。DCスイッチはこれに適した設計で実装されています。

次回は、『第3回 なぜデータセンタースイッチでないといけないのか? ~Fabricのすすめ~』を説明いたします。

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