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MVNOによるサービス展開① ~ネットワークモデルとサービスモデル~

匠コラム
ネットワーク
可視化

ビジネス推進本部 第1応用技術部
コアネットワークチーム
山口 智史

MVNOはMobile Virtual Network Operatorの略であり、仮想移動体通信事業者とも呼ばれます。携帯電話等の無線通信インフラを自社では持たず、他社から借り受けて、自社ブランドでサービスを提供する事業者を指します。自社ブランドでサービスを検討出来るため、お客様のニーズに沿った柔軟なサービスの提供が可能となります。本コラムではMVNOネットワークモデルと、弊社が推奨するMVNOサービスについて解説致します。

連載インデックス

MVNOネットワークモデル

MVNOネットワークモデルは、MVNO事業者がMNO事業者より通信設備を借りて、設計・運用を行う形態をとります。MVNOネットワークモデルの概要を図1に示します。具体的には電波を発する基地局からS-GWまでの設備をMNO事業者から借用し、P-GWからインターネットへ抜ける設備までをMVNO事業者が用意します。

図1.MVNOネットワークモデルの概要

MVNO設備の各装置は3GPPと呼ばれる組織団体で規定されており、装置間の接続(Interface)も標準化されています。これによりMVNO事業者は3GPPに準拠している機器を自由に選択する事ができます。
MVNOネットワークモデルで使用する各種Interfaceの機能を表1に示します。

表1. 各種Interfaceの機能

表1で紹介した各種Interfaceで使用するコマンド一覧を表2~表4に示します。MVNO事業者の設備管理者はこれらのコマンドを用いて保守・運用を行う事になります。なお、Sp Interfaceに関しては、やり取りするデータが提供するサービスに依存することから、柔軟な設計を可能とするために、コマンドについては明確に定義されておりません。これはMVNO事業者にとって他社と差別化したサービス開発を行うアイディアに繋がります。

表2. Gx Interfaceのコマンド一覧
表3. Gy Interfaceのコマンド一覧
表4. Sy Interfaceのコマンド一覧

次にMVNOネットワークモデルでの通信の流れについて下記に示します。

① ユーザーの情報はSPRで管理しており、該当ユーザーのID、IPアドレス、サービスレベル等の加入者属性情報に関してSp Interfaceを用いてPCRFに通知します。
② MNO設備側にいるユーザーが通信を行うと、MVNO設備側のPCEFを通りインターネットへ接続されます。
③ PCEFは自身を通過した通信の送信元IPアドレスをキーにGx Interfaceを用いてPCRFに対し、該当IPアドレスを持つユーザーのサービスレベルを問い合わせ、PCRFから通知されたサービスレベルに基づく制御を行います。
④ 合わせてPCEFではパケット通信量を測定し、ユーザーの通信量をGy Interfaceを用いてリアルタイムにOCSに対して通知します。
⑤ OCSでは各ユーザーの総パケット通信量を管理しており、サービスレベルで定義された総パケット通信量を超えると、Sy Interfaceを用いてPCRFに通知します。
⑥ 通知を受け取ったPCRFは、該当ユーザーが総パケット通信量を超えたことによる制御ルールの更新をGx Interfaceを用いてPCEFに通知します。
⑦ PCEFは更新された制御ルールのサービスレベルに基づく制御を行います。

このようにMVNOネットワークモデルでは、各装置が密接に連携しながらサービスの提供を行います。
以降の章にて、MVNOネットワークモデルを使用し、弊社で提案できるMVNOサービスについて御紹介致します。

MVNOでのサービスモデル

MVNOでは上記MVNOネットワークモデルを使用することで柔軟なサービス展開が可能となります。
柔軟なサービス設計により、価格メリットやサービスメリットが出し易くなりますので、ユーザーの満足度を向上させることが可能となります。
下記に3つのMVNOサービスモデルについて御紹介致します。

① プリペイド式
ユーザーに必要な通信量分をプリペイドで購入して頂くプランです。
ユーザーは使う分だけを購入するので無駄が少なくなります。
また、繰り越しに対応することにより、使い切れなかった通信量は翌月に繰り越せるため無駄なく使用可能です。(図2参照)

図2.プリペイド繰り越し方式

② オンラインチャージング式
ユーザーが当月の通信量を使い切ってしまった場合でも、オンラインにてチャージすることで即座に通信の再開が可能です。(図3参照)
ユーザーを翌月まで待たせることなく、オンラインでの即時購入を可能とすることで、機会ロスを防ぎます。

図3.オンラインチャージング方式

③ シェアプラン式
法人や家族にて、購入した通信量を分け合うことが可能となります。
個人での契約の場合、各人の制限ラインに対して無駄があったり、超過してしまったりする可能性があります。
シェアプランを使用することにより、通信量はグループ単位でのカウントとなります。
使用出来る全体通信量は、個別プランと比べ、より無駄がなく使用が可能となります。
(図4参照)

図4.個別プランからシェアプランへの移行

DPIを使用したMVNOのサービスモデル

前述でMVNOのサービスモデルについて紹介しましたが、PCEF装置にDPI(Deep Packet Inspection)機能を導入することで、より細かいサービス展開が可能となります。
DPIとは、パケットのペイロード(データ部分)の情報を基にパケットの種類を特定し、アプリケーションや振る舞いなどをリアルタイムに識別しトラフィックを可視化する技術です。
(図5参照)
DPIに関しては、コラムDPI (Deep Packet Inspection)入門に詳細な紹介記事がありますので、ご参照ください。

図5.DPIで出来ること

弊社で取り扱っておりますPCEF装置はDPI機能を有しておりますので、以下にMVNOサービスにDPI機能を有効的に組み合わせた2つのサービスモデルについて御紹介致します。

① アプリケーション別制御
DPIにて各種アプリケーションの識別が出来ますので、用途に応じたアプリケーション別での制御をすることが可能となります。
例えばビジネスユーザーに対しては、Webブラウジングとメールのみを許可し、SNSやゲームへのアクセスをブロックします。(図6参照)
業務に関係ないアプリケーションを制限し、必要なアプリケーションのみを許可することで、業務効率を上げ、かつ無駄なパケットを押さえることにより、通信量を減らし、効率良くネットワークを使用することが可能となります。

図6.アプリケーション別制御

② URLフィルタリング
DPIを使用することでHTTPヘッダを分析しURL部分までを見ることが可能となります。
(図7参照)
URLフィルタリング機能により、児童ポルノ、暴力やフィッシング等の不適切なサイトをブロックし、より安全にインターネットを使用することが可能となります。

図7.URLフィルタリング

上記の通り、DPI機能を有効利用することで、より細かいレベルでのMVNOサービス展開を行い、他社との差別化を図ることが可能となります。

まとめ

  • MVNOでは、自社で無線通信インフラを持たないため、物理的な設備の負担無く、サービス展開が可能となります。
  • 自社ブランドでの提供が可能となるため、ユーザーの要求に応じた柔軟なサービス展開が可能となります。
  • DPIを組み合わせて使用することで各アプリケーションやURLまでの詳細な分析を行い、分析に対する、より細やかなサービス展開が可能となります。

弊社では社内ラボにてMVNOサービスの検証環境を構築しており、本コラムで紹介したMVNOサービスの検証が可能となっております。また、実Networkを使用した検証も出来ますので、実際のSNSや動画サービス、アプリケーション等を用いた検証も可能となっております。
今回御紹介したMVNOサービス例はごく一部ではありますが、MVNOサービスを御検討のお客様は是非弊社まで御相談頂けますと幸いです。

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Sandvine製品へのリンク
コラム DPI (Deep Packet Inspection)入門

執筆者プロフィール

山口 智史
ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 第1応用技術部 コアネットワークチーム
所属
ソフトウェア開発会社に新卒入社し、Router/Switchの開発に従事
その後、ネットワンシステムズに入社し、DPIプロダクト担当として評価・検証および様々な案件サポートに従事

  • 情報処理「ネットワークスペシャリスト」
  • 情報処理「情報セキュリティスペシャリスト」
  • 情報処理「応用情報技術者」

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